「う〜ん。美味しそうっ」
目の前にあるのは、
自分の作ったバースデーケーキ。
明日はあっくんの誕生日。
私は気合を入れてケーキを作ってみたりして・・・。
例年はプレゼントだけなんだけど、
今年の誕生日はちょっと事情が違う。
だって、私は今一世一代の『告白』をしようとしているんだもん。
きっと気づかれていない私の気持ち。
ずっと好きだった。
ずっとずっと好きで仕方がなかった。
でも、私とあっくんは年が離れているから、
きっと私のこと妹としか思っていないと思う。
でも私は好きだから・・・
どうしてもこの気持ちだけは伝えておきたいから。
「よしっ、あっくんのところへ行く準備しなきゃ。」
突然家に押しかけて彼女と遭遇・・・
そんなところは見たくなかったから、
前々から約束していたあっくん誕生日の前日。
いつもの私なら可愛い系の格好をするけど、
今日は少しでも大人に見てもらいたくて、
あっくんの周りにいるお姉さんみたいに大人な感じになりたいから・・・
そう思って今日のために選んだちょっと胸元の開いた大人っぽい服。
いつもあんまりしないメイクも
友達に教えてもらって今日はばっちりメイク。
変じゃないよね?
全身を鏡に映して最終チェック。
あっくん似合うって言ってくれるかな?
不安を抱えながら綺麗にラッピングをした
あっくんのバースデーケーキを持って家を出た。
ピンポーン
意を決してあっくんの家のインターホンをならす。
大学の近くに一人暮らしをしているあっくん。
前まではお隣に住んでいたのに、
今は30分ぐらい電車に乗らなくてはいけない。
今日でこの『幼馴染』の関係が終わる。
そう思うと辛いけど、
いつまでも『好き』という気持ちに蓋をしている方が辛い。
「は〜い。」
インターホンをならして少ししてから、
返事をしながら玄関のドアを開ける。
「あっくん、こんにちわ。」
いつものように、笑顔で挨拶をする私。
だけどいつもなら返ってくる返事がない。
不安になったあっくんの顔を覗くと、
顔をゆがめて私を見るあっくん。
変だったかな・・・
あまりにも似合わなかったかな・・・
「あっくん?この格好変かな?似合わないかな?」
「いや、そうじゃなくて。ただ・・・」
「ただ?」
私が言った言葉を必死に否定するあっくん。
慌てた姿を見たのは初めてで、
そんな姿にもキュンとしてしまうのは好きだからかな。
「なんでもない。入れば?」
「変なの。まぁいいや、お邪魔します。」
はぐらかされた先の言葉がとっても気になる。
だけど、深く聞けない・・・聞きたくない。
似合わないと否定されるのは。
「もみ、何飲む?
って言ってもお茶かコーヒーぐらいしかないけど。」
「う〜ん。コーヒー。」
ちょっと沈みそうな気持ちを一生懸命上げる。
普段は絶対飲まないコーヒーだけど、
今日はちょっとでも大人になったところを見せたくて
あえてコーヒーを選ぶところに自分の子供っぽさがあったりして。
ベットを背に座っている私。
キョロキョロと辺りを見回して彼女の面影を探してみたり。
知りたいけど知りたくない。
だけどしてしまう面影探し・・・。
「何探してるんの?
はい、コーヒー。」
いつのまにかあっくんは
飲み物を用意して私の隣に座っていた。
「あ、ありがとう。」
緊張する!
隣に座っていることも、
今から自分がすることにも。
「あっ。はい、これ。」
「何コレ?」
渡された箱を受け取りながら聞いてくる。
いつもの優しいあっくんの笑顔で。
「お誕生日のケーキ。
一日早いけど・・・作ったからお友達と食べて。」
「えっ、もみが作ったのか?」
「そうだけど。いらなかったら捨ててくれていいから。
それと、コレも。」
ケーキとは別に用意をしていたプレゼント。
あっくんに似合いそうなセーター。
「もみ、あけてもいい?」
「うん。どうぞ。」
嬉しそうな顔でプレゼントを開けるあっくん。
そんな顔を見せられてしまうと、
こっちまで嬉しくなってきちゃう。
「やっぱりもみはいいセンスしてるよな〜。」
「気に入ってくれた?」
「ああ、ありがとうな。」
「うん。」
先にセーターの方をあけて、
一回自分に合わせてから私を見る。
やっぱり好きな人へのプレゼントって、
あげる人もすっごく嬉しくなると思うの。
でも、次は必然的にケーキ。
ケーキには私の気持ちが書いてある。
あっくんはどんな反応をするのだろう・・・。
当たり障りも無い振り方をする?
それとも今まで聞いたことのないような
酷い言葉で私を振る?
優しく抱きしめて・・・ってコレはないかぁ。
「次はケーキだな。
悪いけど俺味には五月蠅いからな。」
そういって箱の蓋を開ける。
『大好き』
ケーキの上にチョコレートで書かれた私の気持ち。
「あっくん、大好きなの・・・」
ケーキの上に書かれていることと同じ言葉を
ケーキを見て固まってしまっている彼に
聞こえるか聞こえないか分からないくらい小さな声で。
「もみ、今日からそういう格好禁止な。」
あっくんからの言葉と同時に
私はあっくの腕の中にいた。
「へっ?」
予想もしていなかった展開に
思考がついていきません。
「はぁ。やっと捉まえた。
もう離してやんないからな。」
「えっ、あっくん?」
「何だよ?」
「今どうなってるの?」
「はぁ?どうってもみは俺に抱きしめられてるだろう?」
「違う!そうじゃなくて私たち・・・その、」
「あぁ、もみ好きだよ。」
そう言われて見上げたあっくん顔は
今までに見たことがないくらい優しくて。
見惚れていた私に降ってきた甘いキスは
あっくんの気持ちがいっぱい詰まっているようで
とっても幸せな気持ちです。
「ねぇ、あっくん。」
「何だよ。」
キスの雨の合間。
途中で止めたあっくんは少し不機嫌な気もするけど、
あっくんの顔を見てどうしても伝えたいこの気持ち。
「大好きだよ。今すっごく幸せなの。
ずっと一緒にいてね。」
「はぁ、どうして今そういうこと言うかな・・・。」
「どうして?」
あっくんの言葉にクエスチョンマークがいっぱいの私。
私、何か変なこと言ったかな?
キョトンとした顔であっくんをみつめる。
「もみ、もう限界なんですけど?」
そういわれると同時くらいに
抱きしめられていた私は
お姫様だっこでベットに連れて行かれた。
「えっ、あっ。」
「流石のもみも分かりますか?
でも今更遅いよ。もう俺限界だから・・・どれだけ我慢したと思ってるの。」
今までは知らなかったあっくん。
男の人だったんだと思い知らされる。
でもどんどん大きくなるあっくんへの想い。
「あっくん、お誕生日おめでとう。」
私の精一杯。
切なそうに私を見下ろすあっくんに
触れるだけのキスをする。
そのあとはあっくんからの甘いキスの嵐。
朝目が覚めた時
隣で横になっているあっくんと目が合った。
「もみ、最高のプレゼントをありがとう。」
そして私を溶かしていくほど甘いキスの嵐。
夜の甘い時間は二人だけの秘密・・・
- fin -
じゅんさん。
70万ヒットおめでとうございます!!
70万ヒットを祝して駄文ですが送らせていただきます。
今回はちょっと頑張ってみました!!(何を)笑
今までにないところまで頑張って書いてみました。
私なりに・・・ではありますが。汗
お誕生日ネタにしてみたのは・・・なんとなくなんですけど。
幼馴染ネタは大好きな私。
ウキウキしながら書いてしまいました(●´艸`●)
本当は・・・本当はね、社会人な二人を書きたかったんです。
でも、出だしで挫折です。泣
私にはまだ大人な人は書けないよ・・・と、
大学生と高校生にしてしまいました。
そんな裏話があったりするのですよ〜☆
そんな裏話は置いといて、
やっぱり凄いですよ、70万ヒット!!
じゅんさんの書く小説のファンとしてもの凄く嬉しいです(≧▽≦)ノ
これからも素敵なお話書いてくださいねっ♪
でも、お身体には気をつけて下さいねっ。
mayu
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Mayu さま
当店70万ヒットのお祝いに素敵なお話をありがとうございました。
高校生と大学生のお話は、初々しくていいですね。
あっくんがちょっと俺様っぽい感じがして、個人的にはもっと暴走して欲しいなぁと…(笑)。
みなさまのご希望もありまして、次回は社会人と高校生のお話を書いてみたいと思っております。
でも、昔のことなので今の話題にはついていけましぇん。
カウンターの数字の重みを感じつつも、頑張って書いていきたいと思います。
本当にありがとうございました。
2007.2.1 朝比奈じゅん
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