First Love ~はじめてのこい~
彼女のために
今日は琉莉と久しぶりのデートだ。
最近はバイトだの受験勉強だので忙しくてなかなか会えなかった。
だったらバイト少なくしてデートしろよ。って思うけど、
もうすぐクリスマスだろ?
受験があるっていったって正直彼女と過ごしたいのが本心。
そのために色々計画を練っていてバイトはその資金稼ぎって感じ。
だけど琉莉に会えない日が続くのは俺的にかなりキツイ。
わがままだとか自分勝手だと言われてもいい。
琉莉に会いたい!
そして今日はデート。
もちろん俺から誘ったよ。
優しい琉莉は「受験勉強の邪魔に・・・」とか「先輩に無理して欲しくないから・・・」とか
しなくてもいい心配ばかりしてなかなか「うん」といいう返事をしてくれなくて。
もう無理やり取り付けたようなデートだ。
早く琉莉に会いたくて仕方が無い。
なのにこういう日に限って電車が遅れてくる。
なんでなんだよ・・・。
いつもの様に琉莉を待っていなくてはいけないのに。
別にいけない訳じゃないが・・・
琉莉は可愛いから他の男が琉莉に話掛けるんじゃないかって心配なんだ。
やっと来た電車に乗り待ち合わせ場所に急ぐ。
電車を降りてからは少しでも早く待ち合わせ場所に行きたい一心で、
ついつい走ってしまう。
まだ待ち合わせ時間には余裕があるというのに。
待ち合わせ場所に行くと周囲の男どもが
ちらちら時計台の下にいる誰かを見ながらヒソヒソ話しているのが分かった。
もしかして・・・
一瞬嫌な予感が頭を掠めるが俺の見る限り琉莉らしき子はいない。
俺の想像している琉莉はどちらかというと可愛らしい服を着ている琉莉。
いつもデートに着てくるのはそういう印象が強い服だ。
いったい誰を見てるんだ?
芸能人でもいるのだろうか?
そんな事を考えながら待ち合わせの時計台の下へ歩いていく。
俺は自分の目を疑った。
時計台の下に確かに琉莉がいた。
「琉莉?」
「先輩っ。おはようございます。」
俺が呼ぶと嬉しそうな笑顔で俺を見る。
この笑顔はいつもの琉莉だった。
だけどその姿は俺が想像していたいつもの琉莉じゃなくて、
妙に大人っぽい格好をした琉莉だった。
さっき見た男たちがヒソヒソと話していたのは琉莉のことだったのだろう。
ただでさえ可愛い顔をしていて人目を惹くというのに、
今日の琉莉の姿は・・・。
いつもははかないようなミニスカートに胸元が開いたキャミソール。
琉莉はスタイルがいい。
ミニスカートからはスラッと伸びた足、
胸元が開いたキャミソールは琉莉の胸を強調していた。
初めて見る琉莉のこんな姿に嬉しい気持ちと、
誰にも見せたくないという気持ちが俺の中を渦巻く。
「先輩・・・私の格好変ですか?」
琉莉を見て固まっていた俺に琉莉は不安そうに聞いてくる。
上目遣いで今日の琉莉に聞かれて、いつもよりドキッとする。
「いや、違うんだ。とっても可愛いと思うよ。」
いつもの琉莉も可愛い。
だけど、今日の琉莉も特別可愛い。
「嬉しい。このスカートこの間買ったんですよ。」
俺の一言一言にころころと表情を変える琉莉。
とっても愛しい気持ちになる。
「そうなんだ。今日の服可愛いね。超俺好み。」
琉莉の耳元で囁き笑顔を見せる。
琉莉の顔は真っ赤になりつつも
嬉しそうに笑っていた。
確かに俺好みの服。だけど、琉莉にはこういう格好をして欲しくない。
女を強調する格好は琉莉には似合わないと俺は思う。
いや実際は似合っている。
そう琉莉はどんな服を着ても似合うから。
だから女を強調する服を着て欲しくない。
俺以外のヤツに女を強調して欲しくない。
ただたんに俺のわがままでしかない。
そんなのは分かっている。
「でもね、琉莉。」
こんなことは言いたくない。
心の狭いヤツだと琉莉に幻滅されたくない。
だけど、俺だけのために・・・。
「なんですか?」
俺のわがままを今からぶつけられるとも知らずに、
純粋な彼女の目が俺を覗き込む。
その純粋な目に少し後ろめたい今の俺の気持ち。
「ミニスカートとかキャミソールとか禁止。」
これ以上俺の心配事を増やさないで。
琉莉が他の男に好奇な目で見られるだけで絶えられないから。
きっと俺がこんな嫉妬めいた気持ちを抱いているなんて思ってもいないんだろう。
「へぇ?」
ほら、だからこんな返事。
琉莉は自分の事を知っているようで知らないんだ。
どれだけの男が琉莉の事を見ているかとか
どれだけ守られているかとか・・・。
「へぇ?じゃない。今日、ここで待っている琉莉の格好を見て驚いたよ。
そりゃ、正直嬉しい格好だけど。でもダメ。」
「何でですか?」
「それは・・・」
理由を聞かなきゃまたするぞ!
そんな感じで俺を見る琉莉。
言わなきゃダメ・・・だよな。
「それは?」
「・・・俺が心配だから」
実際は言いたくなかった。
だって俺が小さい男に見えるだろう?
まぁ実際はこんな感じだけど、でも琉莉のには大きな男って思われたいだろ?
「えっ」
ほら、俺の事小さい男って思っただろ?
でも、言ってしまったものは仕方が無い。
琉莉には金輪際、外ではこんな格好をしてもらいたくないからなっ。
「だから、心配だからそういう格好は禁止。
ただし俺の前でのみ許す。」
この際だから言ってみる。
琉莉に「俺の前でのみ」って意味が、
二人きりの時って意味って分かったか?
少し不安に思ったが、いい機会だから言ってみる。
「はいっ。」
が、しかし。
琉莉は俺の言葉の内容を簡単にスルーしやがった。
ただ嬉しそうに俺の腕に抱きついてくるだけ。
まぁ、嬉しそうだからいいけど。
正直ちょっと悲しいぞ俺は。
よしっ、この仕返しは・・・。
「琉莉?」
チュッ
名前を呼ばれた琉莉が俺を見上げた時、
ほんの一瞬だけど琉莉にキスをした。
琉莉は顔を真っ赤にして下を向いてしまったが、
まぁさっきのスルーはコレで許してやるよ。
もう少しお勉強しような、琉莉。
次は無いからな・・・、
覚悟しろよ。
一人そんなことを思いながら、
今日のデートを楽しむべく歩き出した。
- fin -
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Mayu さま
素敵なお話をありがとうございました。
俺様海斗くんのもっと俺様も見てみたいですし、俺様を装って琉莉ちゃんにメロメロな彼も見てみたいです。
これからも、可愛らしいお話が読めるのを楽しみにしています。
2006.11.6 朝比奈じゅん
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