「ねぇ、山口君」
「ん?」
「こんな時間だし、出張疲れたでしょ」
「全然」
―――もぉ、何で全然なの?
あっさり彼にベッドの上まで運ばれて、今は日菜子の上に覆いかぶさるようにしている山口君。
すぐ目の前に彼の顔があって、心臓がドッキンドッキン暴れ出すし、どうしていいかわからない。
彼の家に来たってことは、もちろんそういうことなんだけど…。
それについ、言わなくてもいいのに寝言のことまで自分から暴露しちゃうなんて。
「俺、ずっとこうしたかった」
啄ばむようなくちづけ、先走らないように智弘はかなり抑えていたけれど、こんなふうに不意打ちに家で食事を作って待っていてくれた彼女を前にして恐らくそれは無理に近い。
付き合い始めてそう日は経っていなかったけど、ようやくこの日が来たのだから。
「…っぁ…山口…君…待っ…て…」
「待てないよ」
「だってぇ、ほら…」
―――シャワーも、まだだし…。
って、あたしったら何恥ずかしいこと言ってるのよ。
「そのままの、日菜子を味わいたい」
「味わいたいって…」
何だか、ものすごいことを言われているような…。
―――でも山口君。今、日菜子って。
初めて名前で呼ばれた?
「もう、我慢できない」
「…やぁ…んっ…山口…君…」
「智弘だよ、日菜子」
―――耳元で囁くように言われただけなのにゾクゾクししちゃう、あたしって…。
「…智弘」
「ヤバっ…」
「え?」
「すっげえ、嬉しいかも」
「もう一回、言って?」と、可愛くおねだりする智弘。
はにかみながら「智弘」とその声で名前を呼ばれただけで胸の奥がジンッとなって、言いようのない嬉しさでいっぱいになる。
「智弘…ぁっん…」
「たまんないな、その声」
「もうっ、そういうこと言わないでっ」
「ん?ほんとのことだから」なんて、しれっと言う智弘。
―――こんなはずじゃなかったのに…。
と思っても、もう遅い。
でもね、山口君じゃなくって智弘がネクタイを緩める姿とか、こんな時にとか思いながらもつい見惚れてしまうくらいカッコいいの。
「声だけでもヤバイのにそんな目で見られると。日菜子が悪いんだからな」
「えっ…やっちょっ…っ…」
あっという間に着ていた洋服を脱がされて、下着姿にされてしまった日菜子。
ほんのり頬をピンク色に染める彼女が余計に智弘のハートに火をつけていたなんてことは、恐らく気付いていないだろう。
「あんまり、見ないで…」
「どうして?こんなに綺麗なのに」
「綺麗なんかじゃ」
―――ないもん。
胸だって、そんなに大きくないし…。
「俺のここ、どうなってるかわかる?」
『え…』
―――ここって…。
見てはいけないものを見たというか、触れたというか…。
いやぁ〜ん、智弘ったらぁ。
「やだぁ、智弘のえっちぃ。スケベぇ」
「仕方ないだろ?あんまり日菜子が綺麗だから、こうなっちゃうんだ」
………まだ、彼女の全部を見たわけじゃないのにこれじゃあ、俺は中坊か?
と言いたくもなるが、マジで綺麗なんだからしょうがないだろ。
声だけでもヤバイのにこんな姿を見せられて、普通でいられるヤツに会ってみたいくらいだ。
智弘は、日菜子にキスをしながら彼女の背に手を回してブラのホックを外す。
思わず両手で胸の前をクロスする日菜子だったが、まるでグラビアアイドルのような姿に益々智弘の熱は上昇し始めていた。
「日菜子、手をどかしてくれないと」
「だってぇ」
「だって、じゃないだろう?ほら」
「…あっ」
小さな声を上げた時には両腕をしっかり智弘に抑えられていて、膨らみをやんわりと揉まれる。
本人は小さいと思っているらしいが、ちっともそんなことはない。
形のいい張りのある膨らみに淡いピンク色の蕾はツンと上を向いていて。
「…あぁっ…んっ…ぁ…」
「もっと声、聞かせて」
「…恥ずかしいから、そういうこと言わない…で…」
膨らみの輪郭に沿ってゆっくり揉みながら蕾を口に含んで下で転がすと、背を仰け反らせる日菜子。
そのまま、腰のラインに手を滑らせて布越しに秘部に触れるとそこは既にしっとりと濡れている。
「…っぁ…ぁっん…」
「我慢しないで、もっと感じて。好きだ、愛してる日菜子」
―――智弘…。
あたしも好き、あなたが。
「あたしも、智弘が好き」
「日菜子」
「ねぇ、キスして?」と今度は日菜子の方からおねだりすると、智弘は「いいよ」って優しく微笑んで溶けるようなくちづけを降らせる。
―――智弘のキスが好き。
優しくて、温かくて。
お互い着ていたものを全て脱ぎ去り、生まれたままの姿で抱き合うと、密着している智弘のモノはさっきよりも大きくなっているように思えた。
「早く、日菜子の中に入りたい」
ほんのり頬を染めながら日菜子が黙って頷くと智弘はベッド脇にあるサイドテーブルの引き出しを開け、ゴムを取り出して自身に着ける。
「入れるよ」という言葉と共に、静かに自身を日菜子の中に沈めていく。
彼女の締め付けにすぐにでもイってしまいそうだったが、そこはなんとか男として避けたいところだったけど…。
「…んっぁ…あぁぁっ…っ…」
「日菜…子、締めるな」
「…そん…な…ことっ…あっ…ぁん…っ…」
………ヤベっ、気持ちよ過ぎだぞ。
これじゃあ、彼女を壊してしまうかも。
そう思っても、あまりの気持ちよさに勝手に腰が動いてどうにも止められなかった。
「…あっん…ダメぇ…そ…んな…イっちゃ…う…っ…」
「…くっ…俺も…」
彼女の最奥まで突き上げると二人ほぼ同時に果てた。
その後、不規則な荒い呼吸だけが部屋に響き渡っていた。
◇
「ごめん、大丈夫か?」
「うん」
無理させたなと日菜子の汗ばんだ額に張り付いた前髪を指で避けながら、智弘はそっとくちづける。
一つになれた喜び、こんなにも愛しい存在だったのだと改めて再認識させられた気がした。
「日菜子」
「・・・・・・」
………ん?おいおい、寝てるのか?
返事がないと思ったら、彼女は智弘の腕の中で気持ち良さそうにスースー小さく寝息を立てている。
今朝も早かったからな。
出張の度にいつも電話で起こしてくれる彼女。
その声が本当に好きでたまらないんだけど、次回からは智弘って名前で呼ばれると思うと。
いや、できれば電話じゃなくて隣で起こしてもらえれば尚更。
そんなことを考えながら、一人ニンマリしていた智弘だったが…。
「…もっと…」
「あ?日菜子?」
………何が、もっとなんだ?
問い掛けても熟睡しているのか、全く反応がない。
『あたし、変なこと言ってなかった?』って、もしかして寝言っていうのはこれのことなのか?
「…食べた〜い…」
………あのなぁ。
もっと、食べたいって…。
「…あ〜ん」
………あ〜んって、俺の方が食いたいんだっつうの。
可愛い彼女を前にしてムクムクとあそこが元気になってくるのがわかったが、ここで寝込みを襲うわけにもいかず…。
こんなところを俺以外の男には絶対見せるなよ。
まぁ、それはないと思うけど。
無防備な顔で「…あ〜ん」と、口をぽっかり開けている日菜子の唇をそっと味わうことでグッと我慢する智弘だった。
To be continued...
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