Happy Happy Date
STORY1


週末、雅くんにデートに誘われた。
公開したばかりのハリウッド映画を観て、お茶して、買い物して…。
あたしにとっては男の人と付き合うってことも初めてだから、何もかも初めてで戸惑うことばかり。
洋服だって、何を着ていっていいかわからない。
やっぱり可愛い服装の方が、雅くん喜ぶわよね。

「美花、何浮かない顔してるのよ」

彩那が教室に入ると先に大学に来ていた美花が、頬に手をつきながら浮かない顔で何かを考えている姿が目に入る。

「うん、週末に雅くんとデートの約束してるんだけど、何を着て行ったらいいのかなって」

あの日、勝手に帰ってしまったことを責められて彩那には、あの場で柏葉が言った『シラハマ ミカってどこかで聞いた名前だと思ったら、中学ん時に俺に告って来た女だ』は自分なのだということと、その後の雅くんとのことも全部話していた。
彩那も柏葉は顔はいいけど軽くていい加減そうな男だと思っていたようで、話し終わるとまるで自分のことのように怒ってくれて、最後には泣き出しちゃったのにはまいったけどね。
それだけあたしのことを思っていてくれたことが、正直心から嬉しかった。
そして雅くんと付き合うようになったことも心底喜んでくれて、会わせなさいってもううるさいったらないんだから。

「初デートだもんね、う〜んっと可愛くしていかなきゃ」
「可愛くって、言われても」

可愛くと言われても、どうすればそうなるのか自分ではよくわからない。

「美花はスタイルばっちりだから、そこはミニスカでしょ」
「はぁ、ミニスカ!?」

ミニスカってことは、膝上何センチみたいにパンツが見えちゃいそうなくらい短いやつよね。
そんなの着たことないから、めちゃめちゃ恥ずかしいじゃない。

「そりゃそうでしょ、男なんてそんなもんよ」

そんなもんよって…あの雅くんも、そうなのかしら?

「でも…」
「美花〜、そんなことでどうするのよ。恋する乙女はね、恥ずかしいとか言ってちゃダメなのよ?美花は可愛いし、スタイルいいんだから、そんな地味な格好ばかりしてちゃダメなの。わかった?」
「うぅっ」

地味って言われるのは少し語弊があると思うが、まぁ若いんだからもう少し冒険してもいいのかもしれないわね。
彩那に言われたからじゃないけど、自分を変えたいっていう意味も込めて学校帰りにショップを覗いて見る。
街を歩いているカップルもよく見ればみんな彼氏のためなのか、ミニスカを着ている子が多い。
彼氏ができるまでは目に入らなかったが、世の女の子達は頑張っているのだなと感心してしまう。
それにしても、あたしに似合うのかな…。
なんて、ボーっと見つめていると店員さんに話しかけられた。

「ミニスカをお探しですか?」
「え?いっ、いえ…そういうわけじゃぁ」

いきなり声をかけられて、どう答えていいかわからない。
しかし、さすがショップ店員さんはスタイルバッチリでもちろんミニスカだし、なんといったってあのペンが載ってしまいそうなくらい長い睫毛が凄すぎる。

「あなたスタイルばっちりだから、こういうのはどぉ?」
「ええ?!こっ、これですか?」

目の前に差し出されたのは、膝上20cm以上はあるんじゃないかっていうあたしにとっては超ミニスカで、裾には流行のレースがあしらわれているとっても可愛いスカート…だけど。
でもこれをあたしが着るっていうのは、どうなのかしら?!

「可愛いでしょ?これみんな欲しいって言うんだけど、なかなか着こなせる人がいなくてね。あっ、でもあなたなら大丈夫、あたしが言うんだから間違いないわ。ねぇ、着てみて」

「早く早くぅ」なんてせかされて、お姉さんなんだか1人で興奮してるみたいなんだけど…。

「はぁ…」

そんな着こなせる人がいないなんてスカートをあたしが、着られるわけないのに…。
溜め息を吐きつつも、お姉さんに背中を押されてフィッティングルームにグイっと押し込まれた。
どうせ似合わないんだからと腹をくくってそれを身に着けてみる。
一応、ウエストとかヒップは入ったから問題ないんだけど、どうにもこの短さは半端じゃないでしょう…。

「どうですか?」

なかなか表に出ていけなくてモジモジしているとお姉さんに声を掛けられて、恐る恐るカーテンを開ける。

「うわぁっ、やっぱりあたしの思った通りだわ。これを着こなせる人が、この世にいたなんて〜」

少し大げさ過ぎやしないだろうか…。
1人で絶賛しているお姉さんを尻目にあたしは、どう対処するべきか考える。

「これ、あなたのためにあるようなものよ、ぴったりだもの。彼氏喜ぶわよ〜」

商売上手だなと思いつつも、『彼氏喜ぶわよ〜』の一言に釣られてしまう。
雅くん、これ見て本当に似合うって思ってくれるかな。

「本当にそう思います?」
「思う、思う。絶対、彼氏惚れ直すに決まってるから」

あたしって、なんて単純なんだろう。
その言葉を信じて、スカートにキャミソールニットとカーディガンのお揃いのセットを合わせてもらった。
これも結構胸元が開いていたのが気になったけど、お姉さんの押しに負けてしまったのよ。


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