Happy Happy Traveling
STORY1


「ちょっと先の話なんだけど、GW美花は何か予定入ってる?」
「GW?」

ホワイトデーが終わったと思ったら、もうGWなのね。
と美花は、時の経つのは早いなと驚かずにはいられない。
ふとカレンダーを見れば、今年は5/3〜7日までの5日間と結構長い。

「ううん。特には何も決めてないかな。いつも、何日か家に帰るだけだし」
「そっか、じゃあどこか旅行に行かないか?」
「旅行?」
「そう、海外とか」
「海外?!」

自慢じゃないが、美花は海外になど行ったことはない。
もちろんパスポートだって持ってないし、飛行機にだって数えるほどしか乗ったことがないのに…。

「近場で、グアムなんかどうかなって。美花、海に潜って魚とか見てみたくない?」

―――グアムかぁ。
海なんて江ノ島海岸くらいしか行ったことはないし、魚は水族館でしか見たことがないから、きっと綺麗なんだろうなぁ。

「あたし、潜るのってやったことないけど、初めてでもできるの?」
「できるよ。酸素の通ったチューブが付いたヘルメットみたいのをかぶって、海の中を歩けるものがあるんだ。それなら、簡単でしょ」
「そんなのあるの?」

雅くんが言うのはアクアウォークと言って、水着のままで宇宙に行く時に身に着けるようなヘルメットみたいのをかぶるらしいんだけど、これならダイビングとか大げさなものじゃないから、初心者のあたしにもできそう。

「やってみたい」
「そう?あとね、イルカウォッチングっていうのもあるんだよ」
「イルカも見られるの?行きた〜い」
「じゃあ、行こう」
「うん」

旅行会社に勤めているという、雅くんのお友達の一郎さんの従姉に頼んでツアーを取ってもらうことにした。
二人っきりでもよかったんだけど、みんなで行く方が楽しいかなって、彩那とその彼氏の浜田 龍(はまだ りゅう)くんに一郎さんに最近できたという彼女の牧野 絵里香(まきの えりか)さんの6人で行くことになった。
みんなで旅行、それも海外なんてワクワクしちゃうぅ。
美花の心は、すっかり海の向こうへと飛んでいた。



週末の土曜日、彩那と絵里香さんの3人で旅行に来て行く服をお買い物。
あたしと彩那は絵里香さんに会うのは初めてだったから、どんな女性なんだろうなって勝手に想像してしまう。
絵里香さんは出版社に勤めていて、ファッション誌の編集をしているバリバリのキャリアウーマンで、あたし達より3歳お姉さん。
あの一郎さんの彼女さんだもの、きっと素敵な人に決まってる。
待ち合わせの駅前で彩那と待っていると美花の携帯が震えだした。

「あっ、絵里香さんから」

美花が電話に出ると近くを見回して、同じように携帯で話している女性を探す。
顔を知らなかったので、着いたら電話をする約束をしていたのだ。
すると少し先にそれらしき人の姿が見えた。

「もしもし、絵里香さんですか?」
『はい。美花ちゃん?』

口の動きからお互いの名前を確認すると電話を切って3人が顔を揃える。

「初めまして、牧野 絵里香です」
「こちらこそ初めまして、白浜 美花です」
「絵里香さん、初めまして。香坂 彩那です」

絵里香さんは想像以上に美人さんで、さすが一郎さん目が高いと納得してしまう。
それにファッション誌の編集をしていることもあって、服装もバッチリ決まってる。

「美花ちゃんに彩那ちゃんね。うわっ、二人とも可愛いなぁ。今日はよろしくね」

3つ年下の美花と彩那は、絵里香から見れば可愛い妹のように思えたのだろう。

「はい、こちらこそ。絵里香さんに洋服を選んでもらおうと思って、楽しみにして来たんですよ」

彩那は、絵里香に流行りのコーディネートを選んでもらおうとこの日を楽しみにしていたのだ。

「私で、お役に立てるかしら?」
「「もちろんですっ!!」」

彼女を見れば、それは確信できる。
初めて会ったとは思えないくらい3人は、意気投合したのだった。


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