―――勢いであんなことを言ってしまったけど、どうするんだよ…。
あ〜ぁ。
今となって考えてみれば、あれは羽奈の手だったのだと思う。
しかし、この俺があんな言葉にまんまと引っかかってしまうとは…。
あの場の成り行きとはいえ、とんでもないことを言ってしまったなと恭は美春の部屋のベットに寄り掛かりながら今後のことを考える。
「なぁ。美春はモデルとか女優とか、そういうことを本気でやってみたいって思うのか?」
「えっ、それは…」
実を言うと美春には、それがまだよくわからない。
ただ、流されていることだけはよくわかっているんだけど…。
「どうなんだ?俺は、美春が本気でやりたいっていうのなら反対はしない。でも、ああいう世界に入れば、少なからずさっきの話みたいに俺以外の男とも接しなければならないよな。それは、わかるだろ?」
「うん…」
男性と一緒に写真を撮られるだけならいいが、それだけでは済まなくなることだってあるかもしれないのだ。
「俺は、美春が俺以外の男と一緒にいるだけでも嫌なんだ」
本当は、クラスメイトでさえも男というだけで美春の側にいることが恭にとっては好ましいものではなかった。
あのまま、女子校に行っていれば…といまだに思うこともある。
それが、モデルや女優という仕事となれば、事務所だってそういうことも要求してくるに違いない。
「例えば俺が事務所に入ったとして、美春以外の女の子と一緒に写真に写ったり、場合によっては手を繋いだり、キスしたりってこともあるかもしれない。美春は、そういうの許せるのか?」
「え?恭ちゃんが、あたし以外の人と?そんなの嫌、絶対嫌だもんっ」
―――やだ…そんなこと…。
恭ちゃんが、他の女の人となんて…。
「俺も同じだよ。でもさ、美春自身にもそういうことがあるかもしれないってことは、頭に入れておかないと」
「あたし、きちんと羽奈さんに言う」
「え、言うって?」
「この話は、なかったことにして下さいって。あたし、別にモデルや女優になんてならなくってもいい。恭ちゃん以外の男の人となんて嫌、恭ちゃんとずっとずっと一緒にいたいもん」
「美春」
恭は、美春を自分の腕の中に抱き寄せた。
彼女の体は、すっぽりと収まってしまうくらいちっちゃくて…。
美春の頬に両手を添えてゆっくりと唇を重ねると、小さな吐息が洩れた。
何度も何度も啄ばむように優しくくちづけた後、舌を入れるとぎこちないながらも応えようとしている。
芸能界に入れば、恭以外の男がこんなことをするかもしれない。
―――そんなこと、絶対にさせるもんか。
恭は美春を抱き上げると、ベットに横たわらせる。
「俺も、美春とずっとずっと一緒にいたい。っていうか、絶対離すつもりなんてないから」
緊張しているのか、表情が少し硬い美春を解きほぐすように額や鼻の先、顔中にキスを降らせる。
「恭ちゃん、くすぐったいよ」
「だって、美春が可愛いから」
「もうっ、恭ちゃんったら」
照れている美春にさっきよりも熱いくちづけを贈ると、恭はもう我慢できなかった。
カットソーの下から手を入れてブラ越しに膨らみに触れただけで、前よりもずっと大きくなっていることを実感する。
日々、女性らしくなる美春に戸惑いを感じないわけではないが、やっぱり男だから嬉しいと思ってしまう。
「美春、また胸が大きくなったみたい」
「え?そっ、そんなことっ…っあ…っん…っ…」
いつの間にかブラのホックはあっけなく外され、直に膨らみを触れられると美春自身も驚くほど甘い声が洩れて…それを隠すように慌てて手で口を覆う。
「今日、お母さんいないんだろう?だったら、声我慢しないで」
「でも…」
お父さんはいつも帰りが遅いし、お母さんはお友達と出掛けていたから、今は恭と二人きり。
でも、こんな声を出すなんて…。
「恥ずかしいことなんかないんだから、な?」
「…は…っ…ぁ…っん…っ…」
既に主張している淡いピンク色の蕾を恭に唇で吸われ、我慢しようにも勝手に声が口からこぼれていた。
その声だけで、恭のモノも反応してしまう。
美春が着ていたデニムのミニスカートのジッパーを下ろしてショーツごと引き抜くと、茂みの中からちょこんと顔を出していた小さな突起を指の腹で擦り上げる。
「…やぁ…っ…んっ…」
「嫌じゃなくて、気持ちいいだろう?」
「…ちがっ…っ…ぁ…んっ…」
すかさずそこに恭の指が入ってきて、内面を掻き回されると美春はもうフリーズ寸前。
「…やっ…ん…恭…ちゃ…っん…」
「イっていいよ、美春」
「…っあぁぁ…っ…っ…」
一瞬何が起こったかわからなかった美春だったが、どうやらイったよう。
「俺、もう我慢できない。美春の中に入ってもいい?」
黙って頷く美春に恭は着ていた服を全部脱いで、パンパンになった自身にゴムを着けると秘部にあてがう。
実は、美春の部屋にも内緒で恭はゴムを置いていたのだった。
もちろん、こうなることを想定して…。
―――うっ、狭い…。
まだ慣れない美春のソコは、とても狭かった。
「…痛っ…」
「ごめん、美春。ちょっとだけ、我慢して」
「…っん…大丈…夫…っ…っ…」
それはとても大丈夫には思えなかったが、恭には途中で止めることはできそうにない。
「美春っ」
「…恭っ…ちゃ…っん…っ…」
恭の腰の動きが段々と速くなるにつれて、美春の声はより一層大きくなっていく。
「…愛してるっ…美春…」
「…恭…ちゃ…っん…あた…し…も…っ…あぁぁぁっ…っ…んっ…」
美春がイったすぐ後に恭もイったようで、荒い息の中、二人は暫く抱き合ったままだった。
+++
「え〜今更そんなっ。有村さんったらすっかりその気になっちゃって、スケジュールも無理矢理空けたってさっき電話があったのにぃ」
事務所内に羽奈の大きな声が響き渡る。
それはそうだろう、有村以上にその気になっていた羽奈だったのに、いきなりキャンセルの申し出となれば…。
「すみません。俺が、あんなことを言ってしまって。そのことに関してはお詫びします」
「謝ってもらってもね」
「ごめんなさいっ。これもみんなあたしが悪いんです。恭ちゃんのせいじゃないんですっ」
頭を下げた恭に続いて、美春も羽奈に向かって頭を下げた。
理由を聞いて羽奈だってこれ以上無理にとは言わないつもりだったが、それにしてももったいないという気持ちの方が上だったかもしれない。
―――なんとか、ならないものかしらねぇ。
「美春ちゃんの気持ちは、よくわかったわ。そこで、提案なんだけど」
「提案?」
羽奈の言う提案とは、一体何なのだろう?
「美春ちゃんには、早乙女君限定っていうので引き受けてもらえないかしら?もちろん、早乙女君には美春ちゃん限定でね」
つまり、羽奈の提案というのは、美春と恭の組合せでだけ仕事をするというもの。
1人ずつでも構わないのだが、この2人に関しては組ませた方がおもしろいのでは?という突発的な羽奈の思いつきだった。
「取り敢えず今回だけでも、ね?お願い」
さすがの恭も一度引き受けてしまった手前、断ることもできず…。
そっと美春に視線を向けると、そんな彼の気持ちを察している様子。
「わかりました。取り敢えず、今回だけ」
このひと言が、後にまた一騒動巻き起こすことになるのだが…それはまた、別の話。
― *** ―
『どうしよう…恭ちゃん』
『どうしようって…そりゃ、逃げるしかないだろ』
羽奈にうまく乗せられて雑誌に載ってしまった二人は、学校中…いや、日本中で一番有名な高校生カップルになってしまい、連日みんなに追いかけられる日々を送るのでした。
END
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