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それから数日後、ようやっと出た宿題に思わずガッツポーズをしてしまったごろう。
先生からは『そんなに宿題が嬉しいのか』とからかわれるし、何を言われても今の彼には嬉しい以外の何者でもないわけで。
「やっと、しょうこと宿題ができるな」
「ごろうったら」
本当に嬉しそうなごろうに呆れつつも、しょうこだって心の中では同じ気持ち。
初めての恋愛に戸惑いはあるけれど、彼の想いをしっかり受け止めたい。
しょうこはごろうの家のように一軒家が憧れだったが、彼は反対だったようで、マンションのエレベーターに乗るところから子供みたいにはしゃいでる。
「友達もみんな一軒家だったから、マンションってなんだか宙に浮いて暮らしてるみたいだな」
「そう?あたしはずっとマンション暮らしだから、これが普通なんだけどね」
ここに越す前もマンション暮らしだったしょうこには高いところでの生活が当たり前になっていたが、ごろうには新鮮に映ったのだろう。
リビングからベランダに出て、外の景色を眺めていた。
その間にしょうこは冷蔵庫からアイスティーのペットボトルを取り出すと2つのグラスにそれを注ぎ、いつも母が用意しておいてくれるお菓子を添えてトレーを取り敢えずキッチンカウンターの上に置く。
「ごろう。宿題はここでやる?それとも、あたしの部屋がいい?」
そう言って、窓から顔だけこっちを向いているしょうこには何の意図もなかったはず…だが…。
…えっ、しょうこの部屋?
ベランダからリビングに戻ると、ごろうは迷わず答えた。
「もちろん、しょうこの部屋」
『もちろん』という言葉が引っ掛からないでもないが、しょうこは「あたしの部屋は、こっちなの」とトレーを持って廊下を歩いて行く。
その後ろをごろうが彼女のカバンを持って付いて行ったが、妙にドキドキしたりして。
…くぅ、彼女の部屋はどんなかな?
誰も信じないかもしれないが、女の子の部屋に入ったことがないごろうにはそこは未知の世界でしかない。
今まで恋だの愛だのなんてと他人事のように思っていた自分が、すっかりその魔力に取り憑かれてしまっていたとは…。
「あんまり、綺麗じゃないんだけど」
いつ宿題が出てもいいようにと部屋は片付けていたつもりのしょうこだったが、気付かれないためにわざと言ってみたり。
『わっ』思わず声を上げそうになったのは男の部屋とは全く違う、というか、ここに自分が足を踏み入れてはいけないような聖域に感じられるほど。
白いレースをふんだんに使ったベッドに目がいくのを、ごろうは何とか別の場所に移動させた。
「狭くてごめんね」
持っていたトレーを机の上に置いて、しょうこは折りたたみのテーブルを出す。
ごろうが部屋の中を眺めているのが、やっぱり恥ずかしい。
「へぇ。しょうこは、こういう部屋で過ごしてるんだ」
「似合わないでしょ?これ全部、お母さんの趣味だから」
「そんなことないよ」ってごろうは言ってくれたけど、しょうこ自身は似合わないと思ってる。
母親の趣味に付き合わされて、こんな乙女チックな部屋にさせられて。
「さぁ、宿題やっちゃおう?」
アイスティーとお菓子をテーブルの上に並べて、カーペットの上にちょこんとアヒル座りをするしょうこ。
そう言えば、カバンはごろうが持ってたんだっけ?
「ごろ…やぁっ、ちょっ…っ…」
名前を呼ぼうとして、ごろうに背後から抱きしめられた。
耳元に温かいものが触れて、しょうこの体がビクッと反応する。
「しょうこ」
「ごろう、宿題しに…来たんでしょ?」
「うん」
『うん』と言いながらも腕を緩めてくれないし、温かいものが耳元から首筋に移動していく。
「もうっ、ごろうったらぁ」
「しょうこが可愛いから、いけないんだ」
「そんな…やぁ…やめてっ…たら…」
体を向かい合わせにされて、それ以上何も言わせないように唇を塞がれた。
まだ、キスには全然慣れないけど、ほんの少しだけ心地いいって思うのは…。
「好きだよ、しょうこ」
啄ばむようなキスにしょうこも段々おとなしくなって、一生懸命返してくる。
それが可愛くて、ごろうはもう我慢できなかった。
「ちょっ、ごろ…う?」
その場に押し倒されて、すぐ目の前にごろうの顔がある。
真剣な眼差しに吸い込まれてしまいそう。
「しょうこが欲しい」
「え…」
―――欲しいって、まさか…
うえぇぇぇぇっ???
うそ、だってまだ付き合い始めたばかりなのにぃ?!
そんなぁ…。
戸惑いを隠せないしょうこを怖がらせないよう、ごろうはほんの触れる程度のキスの雨を降らせる。
「くすぐったい」と体を捩るしょうこの体をしっかりと抱きしめた。
「ダメ?」
「ダメって言うか…。あたし、初めてだし。怖い」
周りの女子の間でもそんな話はチラホラと聞こえてきていたし、友達にも聞かれたけど…。
こんなにカッコいい彼氏ができたこと自体があり得ないしょうこにとって、えっちなどとんでもない話。
「俺だって、初めてだよ?」
―――ごろうも?
言われてみれば、付き合っているという話さえも耳にしたことがなかったんだから、そうなんだろうけど。
「いいの?あたしで」
「それは、こっちの台詞」
おでこをこつんってくっ付けられて、しょうこは小さく「うん」って頷いた。
怖い思いは抜けないけれど、ごろうなら初めてをあげても構わない。
ごろうは静かにしょうこを起き上がらせると、お互いベッドに折り重なるようにして沈み込む。
心臓の鼓動がどんどん大きくなって、静かな部屋に響いてしまいそう。
「ごろう。好きって言って」
「好きだよ、しょうこ」
「あたしも好き」
ごろうの首に腕を回してそう囁くと、自らぎこちないながらも深くくちづける。
「…ぁっ…ん…」
自分でも変な声を出してしまったと慌てて口を手で塞ぐ。
「なんか、そんな声を出されるとそそられるな」
「だってぇ…」
―――そんなこと言われても、出ちゃったんだからしょうがないでしょ?
真っ赤なしょうこに「可愛いよ」って囁くと、余計真っ赤になって。
そんな彼女の制服のブラウスのボタンに手を掛けたら、すぐに不安そうな表情に変わる。
『大丈夫だから』という意味を込めて頷くごろうにわずかに瞳を揺らすしょうこだったが、彼を信じる気持ちは変わらない。
上から一つずつゆっくりボタンを外していくと、サーモンピンクに小さな白いドットがちりばめられたブラに収まった弾けんばかりの胸が…。
知らぬ間に凝視していたごろうのおでこを、しょうこの手がパチンと飛んできた。
「痛っ」
「こらっ!そんなにジっと見ないで」
「いいじゃん、減るもんじゃないし」
「ごろうの馬鹿っ」
プイッと顔を背けてしまう、しょうこ。
―――胸と付き合うわけじゃないって、言ったくせに。
また、怒らせたと思ったごろうは、すかさずチュッとキスして許してもらう。
「ごめんって。俺も男だからさ、やっぱり目が行くよ。でも、しょうこだけだよ」
「ほんと?」
「あぁ」
ごろうだって、年頃の男子。
そういうものを見たことはあったが、しょうこに比べれば…それだけ、魅力的なものだということ。
ブラウスを袖から抜き取ると、皺にならないようにとスカートも一緒に脱がせてしまう。
恥ずかしさのあまり、しょうこは両腕をクロスするようにして体を隠していたが、ごろうもお相子と制服のシャツとズボンを脱ぐ。
パンツ一枚の男の人の裸を見るのはお風呂上りのお父さんだけだったしょうこには、かなり刺激的だった。
しかし、彼が自分を見ていたようにその引き締まった体に目がいってしまう。
「しょうこ?そんな姿で見上げられると、ヤバイんだけど」
「えっ」
ごろうはここぞとばかりに、ぎゅって目を瞑ったしょうこの背中に手を回して素早くブラを外してしまう。
―――早っ。
って思ったけど、もう遅い。
「…ゃぁ…っあぁぁ…っ…っん…」
両手で優しく胸を揉まれて、時折ツンと上を向いた蕾を指で弾かれる。
体中を電気が流れたような感覚にしょうこの口からは無意識に甘い声が出ていたが、そんなことは制御できる状態になかった。
「しょうこ、気持ちいい?」
「…わっ…そっ…そんなの…わか…な…い…っ…ぁんっ…」
途切れ途切れに答えるしょうこの胸を尚も攻め続けるとその手は腰のラインを添って、ブラとお揃いのショーツを捕らえ、大腿の内側を愛撫した後に秘部に触れる。
「…ひゃ…ぁっ…ちょっ…ぁんっ…」
慌てて足を閉じようとするしょうこの間にごろうは体を挟み、それを許さない。
布越しにもしっとり濡れるそこを何度か指が上下して、より甘い声がしょうこの口から漏れた。
「しょうこ、もう濡れてるね。汚れるといけないから、脱がすよ?」
「えっ?やぁ…っ…」
生まれたばかりの姿にされて恥ずかしいやら、どうしていいかわからない。
再びごろうの指が秘部を捉え、感じてちょこんと顔を出している蕾を指で擦り上げる。
「…ゃあぁぁぁ…っ…ぁっん…っ…」
「指を入れるから、痛かったら言って?」
「…ゆ…び…っ…ん…っ…」
自分でも触ったことのない場所にごろうの指が入って来た。
痛いという感覚はなかったけれど、なんだか変な感じ…。
「大丈夫?」
「…だ…い…じょ…ぶ…っ…」
「じゃあ、もう一本入れるね」
「え…もう一本って…」と思った時には、別の感覚がしょうこを襲う。
―――ここに、ごろうのモノが入ってくるんだ…。
ものすごく不思議な気がしたが、自分はちゃんと彼を受け入れることができるだろうか…。
「…やぁっん…っ…」
「痛い?」
「…ううん…大丈…夫…」
「しょうこの中、だいぶ濡れてるから、もう入れてもいいかな?」
聞かれても、なんて答えていいのやら…。
ごろうはこの日のためにと持っていたゴムを自身に着けるが、初めてのせいかなかなか上手くいかない。
「ごろ…う?」
離れて行ってしまったごろうに急に心配になったしょうこが上半身を起こすと、見てはいけないものが…。
「きゃぁ〜〜っ〜」
―――男の人って、あんなになっちゃうの?
やぁ〜ん。
「しょうこ?そんなに驚かないでくれよ。これが普通なんだから」
「だってぇ…」
初めて見るのだから仕方ないが、何もそんなに驚かなくても…。
両手で目を塞ぐしょうこの手をそっと剥がすごろう。
そして、抱きしめる。
触れ合う熱に心まで解けてしまいそう。
「しょうこ。止める?」
「え?」
―――あたしが、あんな声を出したから。
「嫌なら止めるよ」
「止めないで」
「いいの?」
「うん」
しょうこをゆっくり横たわらせると、ごろうは自身を宛がう。
「痛かったら、すぐ言って?」
不安げな表情で頷くしょうこの中に少しずつ沈めて行く。
「…ぅっ…い…っ…」
『痛い』と言おうとして、かろうじて声を抑えた。
言ってしまえば、優しいごろうはきっと止めてしまうから。
でもね、初めては痛いって聞いていたけど、こんなに痛いなんて…。
「大丈夫?もう少しで、全部入るから」
「うっ…ん。だいじょ…ぶ…」
しょうこの目に薄っすらと光るものが滲んでいたが、自分を懸命に受け入れようとしてくれている彼女を想いながらもゆっくりと自身を入れる。
男の欲望だってわかっていたけど、もう止められなかった。
「しょうこ。全部入ったよ」
「あたしの中、ごろうでいっぱい」
「温かい、しょうこの中」
ごろうはしょうこを抱きしめて、軽く唇にくちづける。
「動いてもいい?」
「動く?!」なんて考えているうちにごろうは、しょうこの中を行ったり来たり。
「…あぁぁ…っ…ゃぁ…っん…っ…ごろ…っ…」
「しょ…こ…」
しょうこにはイくとかそういうこともわからないままだったけど、恐らくそうだったのだろう。
ごろうもまた、「好きだ」の言葉と共に自身を吐き出すとしょうこの上に倒れこむようにして果てた。
「しょうこ?」
「ごろう」
「ごめんな、初めてなのに無理させて」
ごろうは汗ばんで額に張り付いているしょうこの前髪を指でそっと避けると、キスを一つ落とす。
「ううん、ごろうは気持ちよかった?」
「あぁ」
「良かった」
微笑むしょうこが愛しくて、ごろうは彼女をぎゅっと抱きしめた。
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「しょうこ。宿題―――」
「嫌!絶対、見せてあげないんだからっ」
またまた、しょうこはご立腹の様子。
あれほど、仲が良かった二人に一体何があったのか?
これというのも、昨日はえっちをしてしまい宿題をすることができなかったから。
あの後もジンジン痛くて夕飯も食べずに眠ってたから、家族もどうしたのかって心配したくらい。
そんなしょうこだって、危うく宿題を忘れてしまうところだったのに頑張ってやって来た。
なのに、ごろうったら…。
「しょうこぉ…」
後を追い回すごろうがなんとも可愛らしく見えるのは、周りの友達だけだろうか?
「嫌って言ったら、嫌!」
―――でも、好きって言ってくれたら許してあげるかも。
言葉と裏腹に顔は笑っているしょうこだった。
To be continued...
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