Mini Mini STORY
ドラマみたいな恋がしたい
1


「何で、俺なんだよ。あんたなら、いくらでも男を選べるだろ」

―――自分でも冴えない男だと、わかってる。
だから、なぜ女優の彼女が自分に拘るのかがわからない。

「私だってわかってる。あなたより地位もあって、素敵な人はたくさんいるって。でも、好きになっちゃったものはどうしようもないでしょ?」

…はっきり言って、何で彼なのか?全然わからない。
口は悪いし、お金も地位も持っている部類ではないはず。
なのになぜ…時折、見せる優しさ?
彼は、私を特別扱いしなかった。

「好きになっちゃったんだもの…」
「ごめん…」

―――気持ちは嬉しいけど、想いに応えることはできないんだ。
受け入れてしまったら、二度と抜け出せない迷路へと迷い込んでしまいそうで…。


To be continued...



「いやぁ〜ん、こんないいところで終わりなんてぇ。来週まで待てないわよ」

クッションをギューっと抱きしめて、テレビの画面を食い入るようにしてドラマを見ていた桜(さくら)。
流行(はやり)の韓国ドラマは、どうしてこんなにも日本の女性達を引き込んで行くのだろう。

「そんなドラマ如きで、いやらしい声出すな。襲うぞ」
「は?いやらしいって。あなたは、どうしてそういう発想しか浮かばないわけ?」

―――あぁ〜ぁ、何でこんな人と付き合ってるんだろう…。
同じ職場の誰もが憧れた仕事も出来て、爽やかで素敵な人…そう思ったのは、初めだけ?
こんなはずじゃなかったのよ。
もっと甘く燃え上がるような、ドラマみたいな恋を夢見ていたあたしには、彼のクールな付き合い方が馴染めない。
それでも、1年半付き合ってこられたのは運が良かっただけなのか…。

「男なんて、そんなもんだろ」
「信哉って、ちっともロマンチックじゃないのね」

だからって別れるつもりはないけど、これでいいのかなって…。

「おい、どこに行くんだよ」
「ごめん、帰る」

「何だよ、今来たばかりで。ドラマだけ見て帰るのか?」と背中に投げつけられた言葉を跳ね返すようにあたしは、真っ直ぐ彼の部屋を出て行った。


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