夕方になって段々と粉雪が舞い始め、銀世界が恋人達のホワイトクリスマスへと装いを変えた。
「綺麗、雪が降ってきましたね」
「なんか、正しくクリスマスな雰囲気だな」
二人は寄り添いながら、ただ窓の外のロマンチックな雪景色を眺めていたが、お互い心の中に思い浮かべたのは出逢ったばかりの頃のこと。
永遠は母親が勝手に引き受けてきた家庭教師のアルバイトを仕方なく、聞けば勉強する気があるのかないのか、そんなお嬢様のお守りははっきり言ってご免だった。
それが、どうしてこんなふうに…。
大人と子供の中間に位置する彼女の揺れ動く心に触れるうち、永遠の知っている女性とは大きく違うその純粋無垢な彼女自身に惹かれていったから。
彼女が大人の女性になっても、それはずっと変わらない。
───でも、彼女は初めて逢った時から俺のことを好きだったって言ってたよな?
女子校に通っていた綾葉が、知っている男といえば幼馴染みの蒼君だけのはず?!
それって、比較にならないんじゃないのか?
ここまで来てこんなことを考えるのは、どうなんだろうか…。
「永遠…さん」
「ん?」
「どうかしました?」
一人思いを巡らせる永遠に、どうしたのかと綾葉が心配そうに顔を覗き込んでいる。
───今は、そんな余計なことを考えることもないな。
恋は始まったばかり、まずは好きという気持ちを大切に育てていこう。
「ううん。そろそろ、食事の時間だな。ここのレストランは美味しいって評判らしいけど、プリンは出るかな?」
「どうでしょう、出るといいな」
本当にプリン好きだなと永遠は思ったけれど、こんなところが彼女らしくて可愛いいなと。
少しおめかしした二人は、メインダイニングへと出掛けることにする。
───気に入ってもらえるといいんだけど…。
目も舌も肥えた彼女に満足してもらえるだろうか?
中央に大きなツリー、色とりどりに飾り付けられたそこは綾葉にとって別世界のようだった。
今までクリスマスといえば、家族や友達とワイワイ過ごすのが普通。
こんなふうに恋人と過ごすことになるなんて夢のまた夢、想像すらしていなかったことだから。
「すっごく素敵で大人な雰囲気に、なんだか私のいるところじゃなさそう」
「そんなことないさ。俺には、十分大人っぽく見えるけど」
「永遠さんったら」と恥ずかしそうに頬を染める綾葉だったが、大きく開いたベロアのワンピースの胸元に白いファーが付いているもののエスコートする永遠が目のやりどころに困るくらい、今夜の彼女は色っぽい。
そして、ここにいる誰よりも美しかった。
窓際に面した席に正方形のテーブルの角を挟んで座る。
ライトアップされたゲレンデが幻想的で、きらきらと輝いてとても綺麗。
こんな時はシャンパンでもと言いたいところだけど、綾葉はまだ未成年だから今夜はジュースで乾杯。
「「メリークリスマス」」
お互いグラスを合わせると聖なる夜のスタート。
今夜のために特別に用意されたメニューはどれも演出が凝っていたのに加え、本当に美味しくて永遠の心配など全く無用。
そして、綾葉は体は細いわりに食が太い。
こういうところも、姉の祐里香に似ているのかも…。
───そう言えば、今頃は稲葉さんとこうして食事をしているところだな、きっと。
平日の今年は二人とも会社を休むわけにはいかないからと、羨ましがっていたな。
学生の身分でと思いながらも、今夜だけは許してもらうことにする。
「美味しいですね。私ったら、一人でこんなに」
「俺は見てて気持ちいいくらいだし、若いんだからいっぱい食べないと」
「それって、子供みたい」
口を尖らせて言う綾葉もまた可愛い…。
どんな彼女も、永遠にとっては可愛いということなのだが…。
メインディッシュのターキーもぺろりと平らげてしまった綾葉。
───これでも、デザートはちゃんと入るんだよな。
別腹というものが存在する女性は、未知の生物だなと思うところはここだったりもして。
「わぁっ、プリンですぅ」
女性と男性ではデザートのメニューが違うのだろう、一回り大きなお皿に何種類ものスィーツが並ぶ。
その中央には、綾葉の大好きなプリンが。
「願いが叶った?」
「かな?」
───嬉しそうな彼女の目には今だけ、俺は映っていないんだろうなぁ。
プリンに妬いてどうするんだよ…。
まぁ、この先は俺のモノだから。
◇
すっかりお腹も満たされた二人は部屋に戻ると、我慢できなかったように永遠は綾葉を抱きしめた。
「綾葉」
「永遠さん」
おでこをコツンとぶつけると羽が触れるようなキスの後、それは段々と深いものに。
「…っ…ぁっ…」
静寂の中で小さな声が、綾葉の口から漏れる。
ぎこちないながらも、一生懸命応えようとしている彼女が愛おしい。
「綾葉、好きだよ」
「…えい…と…さ…っ…す…き…ぁっ…」
途切れ途切れの言葉で返す綾葉を抱き上げると、そのままキングサイズのダブルベッドの上へ。
知り合いは、変なところで気を利かせてくれたようだけど…。
「大丈夫?嫌なら…」
誘った時からこうなることを含んでいたけど、初めての彼女が受け入れてくれるのだろうか…。
───今更だけど。
「私、永遠さんが好きです。だから…」
本当ならその気持ちだけで十分なはずなのに、やっぱり一つになりたいと思ってしまう。
男のエゴだってわかってる。
「わかった。俺を信じて」
黙って頷く綾葉の唇にキスを落とすと首筋に唇を這わせる。
思わず彼女の口から「あっ」という声が漏れたが、もう止めることなど永遠にできるはずがない。
胸元に自分のモノだという証をいくつも残し、これは後で怒られそうな気がするけど…。
「服を脱いでもらってもいい?」
「え…」
「いゃ、このままだとせっかくの服が」
ワンピースだったから、ちょっと永遠が脱がせるというわけにもいかなくて。
一瞬驚いた表情を見せた綾葉の上半身を起こすと、永遠の方が先に自分の着ていたシャツを脱ぐ。
勉強ばかりしていて運動など全く無縁と思われがちな永遠だが、そこは一応気にしているというか、母親も姉の祐里香もいちいちうるさいから。
そのおかげで、若い彼女に嫌われずに済めば小言も役に立っていたことになる。
「俺も脱いだから」
「じゃあ、後ろ向いてて下さい」
彼女の言う通りに永遠は後ろを向くと、なぜか綾葉もクルッと永遠に背を向けて後ろ向きに服を脱ぐ。
「いい?」
永遠が、振り向いて固まったのは言うまでもない。
アヒル座りで胸の辺りをクロスした腕で隠してはいるが、なんとも可愛らしいというか、セクシーというか…。
この日のためにと自惚れてもいいのだろうか?
「綾葉、それ…」
「変ですか?」
「そんなことないけど」
リボンがポイントの見ようによっては、プレゼントとも受け取れるけれど…。
「祐里香さんのプレゼントなんです」
「あ?」
───ったくあの二人、絶対おもしろがってるよな。
まぁ、可愛いから許すけど、そうじゃなくてっ、きっと後で感想とか聞いて来るんだよ。
その前に永遠は不安顔の綾葉を抱きしめると再びゆっくりとベッドに体を倒す。
素肌と素肌が触れ合って、お互いの気持ちまで熱と一緒に行き来していくよう。
せっかくの祐里香のプレゼントだったけど、永遠は綾葉の背中に手を回すとブラのホックを外してしまう。
クロスしていた腕をゆっくり外して形のいい膨らみを確かめると、ピンク色の蕾の周りを舌で円を描くように転がしていく。
「…っぁ…んっ…っ…」
「声、我慢しないで」
とはいっても、彼女の押し殺すような声に少しずつ解きほぐすように優しくくちづける。
「…あぁ…っ…んぁ…っ…」
的を絞ったように蕾を唇で吸いながら膨らみを手で揉むと、我慢できずに綾葉から甘い声が。
その声に永遠の方がまいってしまいそうだったが、なんとか堪えて腰のラインに添って手を下へ。
ゆっくりと内腿を上下した後、布越しに秘部に触れた。
「…ゃぁ…っ…ぁんっ…え…と…さ…」
「綾葉、大丈夫だから」
ショーツのリボンをスルリと解くと、まるで本当のプレゼントのリボンを解くようで妙にソソラレル。
これを選んだ姉に感謝するべきなのか…。
そして、直に指を茂みの中の蕾に。
「…ぁっ…こ…わ…っ…い…っ…」
「怖くないよ。指を入れるけど、痛かったら言って」
…えっ、指?
「…ん…っ…」
「痛い?」
「だ…い…じょう…ぶ…」
異物感はあったが、指を入れられてもなんとか平気。
…でも、ここに永遠さんの。
そう思っただけでも、カーッと奥底が熱くなるのを綾葉は感じていた。
「増やすよ」
「…えっ…っ…ぁ…んっ…っ…」
指が動く度に甘い声が。
だいぶ濡れてきていたのと永遠もそろそろ限界に近かったから。
「綾葉、ちょっと待ってて」
額にくちづけて、残りの服を脱ぐと航貴にもらったプレゼントを…。
「入れるよ。痛かったらすぐやめるから」
ゆっくりと綾葉の中に自身を入れていく。
初めての彼女は想像以上に狭かったけど、永遠にしてみれば一つになれる喜びと心地良さの方が大きかった。
「…いっ…あぁぁぁ…っ…ぁん…っ…」
痛かったのか、眉間に皺を寄せた綾葉。
目尻には薄っすらと涙の跡が残っていたが、ここまで来たら引き返せない。
「もう少しだから。綾葉、全部入ったよ」
「…永遠…さ…んっ…」
ぎゅって抱きしめた後、涙の跡を拭うようにくちづけた。
「動くよ」
「…え…やぁあ…っ…んっ…あぁぁぁぁ…っ…」
優しくするつもりだったのに…あまりの気持ちよさに永遠は抑えられなかった。
「…え…と…さっ…っ…あぁぁ…んっ…」
「…綾葉っ…くぅ…っ…」
彼女にはイくというのはまだよくわからなかったかもしれないが、永遠は自身を吐き出すとその場に倒れ込んだ。
どれくらい、綾葉は眠っていたのだろうか?
気が付くと永遠の腕の中にいた自分。
もちろん生まれたままの姿に急に恥ずかしくなって離れようとしたけれど、彼が離してくれるはずもなく…。
「気が付いた?ごめんな、無理させて」
「いえ、私」
…そうだ、永遠さんと。
今までのことを思い出して、綾葉は全身に熱を帯びる。
ん?あれ?
ふと、右手を見ると薬指に光る物が…。
「永遠さん、これ」
「あっ、俺からのクリスマスプレゼント。このまま眠ってたら、日付が変わっちゃうかなって思ったから」
「たいしたものじゃないけど」と言われて、もう一度手を見るとピンク色の石が綺麗なリング。
…なんだか、夢を見ているみたい。
綾葉はこっそり頬をつねってみたが、『痛っ』どうやら夢ではなさそう。
「ありがとうございます。すっごく嬉しいです」
「そう?良かった。サイズもぴったりだし、さすが姉貴だわ」
祐里香に聞けば何でもわかる。
ありがたい姉の存在に感謝しつつ?!綾葉の手に自分の手を重ね合わせた。
「私も永遠さんにプレゼント買ったんです」
「まさか、姉貴。いや、稲葉さんが絡んだりしてないよな」
「え…」
綾葉の反応を見れば、間違いなく絡んでいるのだろう。
だけど、もう驚かないから。
本気の恋はしないかも。
そう思うこともあったけど、あなたに合わせてくれた神様に感謝したい。
END
←お話を気に入っていただけましたら、ポちっと押していただけるともしかして…。
続きが読みた〜い、良かったよ!と思われた方、よろしければポチっとお願いします。

※ このお話はフィクションです。実在の人物・団体とは、一切関係ありません。作品内容への批判・苦情・意見等は、ご遠慮下さい。
誤字が多く、お見苦しい点お詫び申し上げます。お気付きの際はお手数ですが、下記ボタンよりご報告いただければ幸いです。
NEXT
BACK
INDEX
PERANENT ROOM
TOP
Copyright(c)2006-2013 Jun Asahina,All rights reserved.