なんで、こんな日に風邪なんかひくのよ〜。
今日は、一学期の始業式。
昨日までピンピンしてたのに今朝、起きたら身体はダルイし眩暈はするし、真っ赤な顔してそれでも我慢して学校に行こうとしたら、『あんた、死にたいの?』ってお母さんに無理矢理ベットに押し込まれた。
だって今日は、高校2年になって最初の始業式の日よ?
クラス替えもあるし、仲良しの子と一緒になれるかとか担任だって気になるじゃない。
明日からならいくらでも休むから、今日だけは這ってでも行きたいわよ。
あ〜ぁ、遙と一緒のクラスになれたかな…あとで電話してみよう。
あたしが通っている成翔学園は、初等部から大学まである私立の一貫校。
遙こと永井遙とは、初等部からずっと同じ学校で仲良しの親友。
彼女はあたしと違ってしっかりもので勉強もできてそして、すごく綺麗で何でも話せる同い年だけどお姉さんみたいな存在。
3年になったらクラス替えはないから、今年同じクラスになれれば卒業まで一緒にいられるのにな。
そんなことを考えながらさっき飲んだクスリが効いてきたのか、あたしはうとうとと眠りについた。
どれくらい眠っていたのか聞き覚えのあるメロディ、あたしは携帯の着信音で目を覚ました。
ボーっとした意識を戻しながら、片手でベットの脇にあるサイドテーブルをまさぐると置いてあった携帯を取って電話に出る。
「…もしもし」
『千春?遙だけど、寝てた?少し話しできる?』
「遙?…うん」
『風邪、ひどいの?』
「ううん。もう大丈夫だよ」
『よかった。千春待ってても来ないし、先生が風邪で休みだって言うから心配したよ』
「ごめんね。今どこ?学校は?」
『うん。たった今終わって、帰るところ』
「そっか」
『そうそう千春、あたしと同じクラスC組だよ、それを報告したくて。あとね、担任は宮田先生だよ。』
「ほんと?遙と一緒なの?よかった〜」
よかった、これで卒業まで遙と一緒にいられるんだね。
それに担任は、宮田先生かあ。
宮田先生は40ちょっと過ぎの世界史の男の先生で、すごくおもしろくてやさしい人。
だから生徒にも人気があって、1年の時に習ってあたしも遙も大好きな先生だったんだ。
『うん、あたしも千春と一緒のクラスになれてうれしいよ。あとね、里香ちゃんと絵美ちゃんも一緒だよ』
そうなんだ、みんな仲良しの子が一緒になれてよかったな。
「そう言えば、遙。高見くんは?」
高見くんとは遙の彼氏で高見 佑人(たかみ ゆうと)くん、すっごくサッカーがうまくて超かっこいい、遙は中等部の時から付き合っててもうラブラブなの。
『おかげさまで、一緒になれたよ〜』
「遙、よかったね」
『うん。千春、明日は学校来れそう?』
「たぶん、行けると思う」
『そう、今日はゆっくり休んで早く風邪治すんだよ?じゃあ明日ね』
「うん、わざわざ連絡してくれてありがとうね」
そう言って、電話を切った。
あたしはしょっぱなから風邪をひいてついてないって思ったけど、なんかこれから楽しい高校生活が送れそうだなと思ったらちょっとウキウキしてきた。
だからこれから先起こることなんて、予想すらしていなかった。
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