お風呂から上がって、部屋でくつろいでいると携帯が鳴り出した。
先生?
あたしは、急いで電話に出る。
「もしもし―――」
『千春ちゃん?』
「先生」
『今、話しても大丈夫?』
「はい」
『何してたの?』
「お風呂入って、上がったところです。先生は?」
『僕は明日の授業の準備って言いたいところだけど、千春ちゃんのことばっかり考えてたよ』
「せっ、先生。そういうこと、恥ずかしいから言わないで下さいっ」
『どうして?本当のことだから』
あなたねぇ…。
『ひとつだけ、千春ちゃんに確認しておかないといけないことがあるんだ』
急に真面目な声になった先生に少し戸惑いながらも、次の言葉を待った。
『僕は教師で、千春ちゃんは生徒。この意味、わかるよね?』
「はい」
『だから、普通の恋人達みたいにデートしたり、そういうこともあまりできないと思う。それでも僕と付き合ってくれる?』
「はい、先生のこと好きだから。でも先生こそ、あたしみたいな子供と付き合ってもいいんですか?」
『僕は千春ちゃんのこと、子供なんて思ったことは一度もないよ。僕にとって千春ちゃんは、ずっと1人の女の子だったよ』
そして先生は、心の中で言う。
千春ちゃんは、ずっと僕の中の天使だったんだよ―――
「先生…」
『僕こそ千春ちゃんより6つも年上で、こんなオジサンでもいいのかなって…』
「先生は、ちっともオジサンなんかじゃないですよ」
まぁ、あたしの17歳って年齢から比べれば先生はオジサンなのかもしれないけど、年齢よりずっと若く見えるしそれにカッコいいもの。
『千春ちゃんにそう言ってもらえると、すごく嬉しいよ』
先生は電話越しだけど、とても嬉しそうにそう言った。
「そう言えば神田くんが言ってたんですけど、あたしと付き合ってるって噂が流れた後、先生に睨まれたって」
『え…』
「本当なんですか?」
『いや、あれはね。神田の奴が、嬉しそうにしてるのがっ』
しどろもどろで話す先生が、すっごく可愛いかも。
『千春ちゃんっ、なに笑ってるんだい。あの時、僕は本気で焦ったんだからね。千春ちゃんを取られるんじゃないかって』
「ごめんなさい。先生、可愛いから」
『こら、大人をからかうんじゃないよ』
「は〜い」
『千春ちゃん、本当にわかってる?』
先生、神田くんにやきもち妬いてくれたんだ。
「先生、大好き」
『…千春ちゃん、それ反則だよ。そんな可愛いこと言われたら、僕はなにも言えなくなっちゃうじゃないか』
わかってて言ってるあたしは、正に確信犯。
でもね先生、あたしはそんな先生が本当に大好きなんだから。
END
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