ASPHALT☆LADY
SWEET VALENTAINE
2/E

R-18

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「憂、篠島くんへのチョコレートはバッチリ?」

レシピ本を貸してくれた愛香は、出来栄えが気になったのだろう。

「まだ。今日、早めに帰って頑張るつもり」
「えぇぇっ、だって、今日なのに?」

今日は、2月14日。
バレンタインデー当日だというのに、彼に渡すチョコレートができていないとは…。

「昨日作るつもりだったんだけど、残業になっちゃって。帰ったら11時過ぎてたし、それでも頑張ったんだけど失敗しちゃって」

予想外の残業になってしまい、それでも帰ってから作っては見たものの、ものの見事に失敗してしまったのだから。
それでも買ったものではなくて、どうしても手作りで彼に渡したい。

「そっかぁ。だったらほら、もっと失敗しないものに変えてみたら?」
「でも、どうしてもあれが作りたいの。大丈夫、1回作ってるし、コツもつかめてるから」
「そう?でも、一応買って帰った方がいいんじゃない?ほら、ないよりいいでしょ」
「ううん。それだけは、絶対嫌」
「憂ったら、頑固なんだから」

こういうところが、憂らしいのだと愛香は思う。
例えできなかったとしても、彼はわかってくれてるだろうし。
あとは、上手くできるように祈るだけ。



残業にならずになんとか定時で会社を出ると、憂は真っ直ぐ遼哉の家へ向かう。
一応、バレンタインデーだし、今夜は彼の家に泊まることになっていたから。
―――でも、チョコレートできるかなぁ。
愛香の言うように、途中で買って帰った方がいい?
というか、実は買っている時間もないくらい切羽詰っているのだ。
遼哉には少し残業になるからと言われていたが、その分の時間を見積もっても間に合うかどうか…。
とにかく、一か八かで頑張るしかないわけで、憂は急いで材料を調達すると彼の家に向かうのだった。

今度こそと、レシピ本を見ながらゆっくり落ち着いて作ったら、あれ?今日は上手くできてるじゃない。
それに簡単だし。
昨日は何で失敗したのか、さっぱりわからない。
順調に進んでいたのは良かったが、予想外に遼哉が早く帰って来るとは…。

「ただいま。憂、何やってんだ?なんだか、ものすごく甘い匂いなんだけど」
「げっ。遼哉、いつ帰って来たの?」
「いつって、たった今だけど。ブザーを何度か押したのに出て来ないから」

―――うそ、もう帰って来ちゃったわけ?
どうするのよ…まだ、できてないのに。

「お帰りなさい。これに夢中になってて、聞こえなかった」
「いや、いいんだけど。それにしてもすごいなぁ、憂自身がチョコレートみたいだぞ?」

遼哉に言われて自身を見てみると、両手の平はコーティング用のチョコレート。
身に着けていたエプロンはいつの間にか、チョコレートまみれだし…。

「ごめんね、キッチンも汚しちゃって。もうちょっと待ってくれる?あと少しでできるから」
「う〜ん、どうしようかな」
「え?」

―――何、それ…。
なんだか、嫌な予感がぁ。

「うわぁっ、ちょ…今、作ってるんだからぁ」
「こんなの滅多にないだろうし」
「やぁっ、ちょっとっ…っ…んっ…」

遼哉は憂を背後から抱きしめると、素早く唇を奪う。

「…っ…ん…りょ…や…っ…」
「憂、甘いな」
「…く…す…ぐっ…た…い…っ…」

顔にもたくさんチョコレートがついていたようで、ペロペロと舐めらてくすぐったい。
―――あんっ、こんなところでぇ…。
夕食も途中だし、チョコレートもまだ、できていないのにぃ。

「遼哉、待って。これ作ってから―――っ」
「いいよ、作って」
「…こんな…こと…し…て…たら、…でき…ない…で…しょ…っ…」

エプロンの間から手を入れてきて、胸を揉んだりしてる。
こんなことをされているのに平然とチョコレートを作れる人間なんて、いないでしょっ!

「…ちょ…っ…やんっ…遼…哉っ…たら…っ…や…め…てっ…」
「だめ、俺我慢できない。こんな、エロい憂を見せられて無理だから」
「エロい…って…っ…」

そのまま抱き上げられて、寝室まで運ばれてしまう。
両手の平は、チョコレートだらけだっていうのに…。

「もうっ、遼哉ったら。ちゃんと、手作りのチョコレートを渡したかったのに」
「それは、後でもらうよ。でも、今は憂を先にいただきたいから」

手に付いたチョコレートもペロペロって舐められて、本当に自分がチョコレートになったみたい。

「くすぐったい」
「来年は、全身チョコレートを纏った憂が欲しいな。あたしをア・ゲ・ル、みたいにリボン付けてさ」
「はぁ?何、わけわかんないこと言ってるの。バッカじゃない?」

―――何、わけのわかんないことを言ってるのよ。
この男はぁ。
クスクスと笑う遼哉に、彼のことだから本当にそうしろって言いそうなのが怖いのよねぇ。

「そういう口の悪いところが、好きなんだけど」
「ねぇ、前から思ってたんだけど、遼哉ってMなの?」
「俺がM?そんなことは、ないだろ。っつうか、憂の前ではMになるのかも。結構、快感なんだ」
「えっ。ってことは、あたしはSの傾向があったと…」

―――いや、違うわよ。
だって、前までは遼哉もあたしに向かって言い返してたじゃない。
なのに何で、あたしがSなのよ…。

「今頃、気づいたのか?」
「違うもんっ」
「あはは。じゃあ、おとなしく俺に抱かれなさい」
「やだっ。さっきから、変なことばっか言って」

こんなふうに話しながらも、彼の手は器用に憂が身に纏っていたものを剥がしていく。

「…あっ…っ…っん…」
「もう、感じてたんだ。こんなに硬くなっちゃって」

あまり大きくない胸なのに感度だけはいい…らしい。
遼哉の手にちょうど収まる大きさだとかで、ゆっくり揉まれて硬くなった蕾を指で捏ねられたり弾かれたり…。

「…っやぁ…っ…っん…」
「もっと、感じて。憂の声が聞きたい」
「…ぁんっ…っ…あ…た…し…ばっ…か…りぃ…っ…」

遼哉の服を脱がせようにも両手がチョコレートで汚れているから、触れることができない。
彼にとっては、都合がいいのかもしれないけど…。

「わかったよ。俺も今日は余裕ない」

ネクタイを取って、ワイシャツの袖口のボタンを外す。
胸元あたりがチラッと見えるこの時が、憂は好きだったりもするのだ。
反対にそんな目で見つめられて、遼哉の理性が保てるはずもなく…。

「そんなに見られると恥ずかしいっていうか、ヤバイ」

硬くそそり立つ彼自身は、もう憂の中に入る準備ができている。
素早く着ていたものを全部脱ぎ捨て、お互い生まれたままの姿で抱き合った。

足を割って憂の中に指を差し入れると、そこはしっとりと濡れていて、透明な液体が指に絡む。
彼女もまた、遼哉を受け入れる体制は十分のよう。

「…あぁぁぁっ…っ…んっ…っ…」
「憂、先にイく?」
「…やっ…ん…りょ…や…と…一…緒…が…い…い…」
「わかった。ちょっと待ってて」

素早くゴムを付けて、秘部に自身を宛がう。
「入れるよ」と言うと憂が黙って頷いたのを確認して、ゆっくりと沈めていく。

「…んっ…あぁっ…っ…」
「うっ…ヤバっ…気持ち…いい…」

中に入っただけなのに、すぐにでもイってしまいそうだった。
自然と腰の動きが早くなって、憂の甘い声が部屋に響き渡る。

「…やっぁぁ…っん…りょ…や…そん…な…に…し…たら…壊…れ…ちゃ…っ…」
「ごめ…止められない」
「…あぁぁぁぁっ…っ…んっ…イっ…ちゃ…う…っ…」
「俺…も…」

ほぼ同時に二人はイったのだと思う。
遼哉は憂の上に覆いかぶさったまま、暫く動くことができなかった。



「ごめんね。バレンタインのチョコレート、ちゃんと渡せなくて」
「俺は気持ちだけで嬉しいし、こんなに素敵なチョコレートをもらったじゃないか」
「え?また、そんなこと言って」

本当はきちんと箱に入れて、綺麗にラッピングして渡したかった。
それなのに間に合わなくて…。

「そんな顔するな。憂らしくて、いいじゃん。こういうの」
「なんか、それって嬉しくない」
「いいんだよ。俺がいいって言ってるんだから」
「あっ、そう言えば、遼哉は何個チョコレートをもらったの?」
「あ?何個って、2個?」
「たった、それだけ?」
「たったそれだけ、ってなんなんだ。彼氏にもっともらって欲しいのか?」

遼哉はモテるから、てっきり10個以上はもらってると思ったし、中には本気もいたりするんじゃないかと…。
それが、たったの2個とは…。

「誰にもらったの?」
「山崎さんと庶務担当の人」
「遼哉って、案外モテないのね」
「違うだろ。俺には憂がいるから、誰も持ってこないんだよ」

―――そうなの?
全然、知らなかった…。
というか、それってみんなに知られてたってこと…。

「そうなの」
「憂は、誰かにあげたのか?」
「うん。一応、周りの人と課長と部長に。でも、あたしはお金を払っただけで、部の女の子が代表で買いに行ってくれたから」
「そっかぁ。みんな羨ましがってんだ。憂にもらえるのは、俺だけってな。特に清水課長はさ、帰り際に愚痴ってたよ義理ばっかりだって」

―――清水課長、まだ彼女がいなかったのね。
誰かいい人、いないのかしら?

「そうよ。このあたしにもらえる遼哉は、世界中で一番幸せなんだからね」
「そうだな」

『彼女の言う通り、俺は世界で一番幸せ者』

まだ、少し甘い匂いのする憂にくちづけると、そう心の中で呟いた。


To be continued...


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