![]() * 擬似恋愛 * <2> ![]() ![]() 「稟花ちゃん。やっぱり、リュウジさんとはダメ?」 「えっ」 「相手を変えたら、急に売り上げが落ちちゃって。うちも人気商売だし、社長にも何でペアを変えたんだって怒られたのよ」 稟花に気を使った市野はリュウジとのペアを変えてくれたのだが、やはり二人の人気度は想像以上に高く、売り上げが一気に激減してしまったのだ。 市野にはある程度のことは一任されていたが、こればかりは社長も口を出さずにはいられなかったのだろう。 「わかりました。私の我侭で、市野さんにご迷惑をお掛けして」 「いいのよ、そんなこと。でも、大丈夫?辞めたりしない?」 「はい」 好きになってしまった相手と体を合わせるのは辛いけど、市野の気持ちもわかるだけに稟花はもう一度彼とのペアを承諾することにする。 もちろん、自分の気持ちが彼に伝わった時は辞める覚悟も。 後は、そうならないことを祈るだけだった。 +++ 稟花の本当の姿を市野でさえも知らない。 年齢は21歳、それは間違いないと思うから、そうなると恐らく大学生ではなかろうか。 ただ、男性に慣れていない点と、とても丁寧な言葉遣いにおとなしい性格から判断する限り、実はお嬢様なのではないか?周りではそんなふうに思う者も多かった。 初めは悩んだ市野も、自らこの業界に飛び込んで来た彼女のことだから、余程のことがあったに違いないと受け入れることにした。 そして、素人さと純情さが受けたことと、相手にリュウジを起用したことで売り上げも倍増、あっという間にトップに上り詰めたのだった。 「あれ、相手は稟花ちゃんなんですか?」 市野にそう言われたものの、彼女はダサい男が好み?!だったはず。 リュウジにとっても、再び稟花が相手なのは嬉しいが…。 「やっぱり、二人のペアでないと売り上げが下がっちゃって」 「そういうことですか。でも、彼女はそれでもいいんですか?男の俺は構わないんですが」 大方そんなことだろうと思ったが、彼女はそれでいいのかどうか。 無理しているとすれば、それはかわいそうなことだし…。 「稟花ちゃん本人は、大丈夫だって言ってるんだけど」 「何か」 「辞めちゃうかも、彼女」 「え?」 …辞める? この業界、そんなに長い間できるものでもないが、彼女はまだ始めたばかりだし、今が絶頂期。 辞めるのはもったいないし、そんなことになったらファンが嘆くだろう。 もちろん、俺も。 「なんとなく、そんな気がしただけ。ねぇ、リュウジさんの力で何とかしてくれないかしら?」 「俺がですか?」 「そう、あなたなら。でもダメかな」 「なんですか、それ」 リュウジにはさっぱりわからなかったが、市野には彼ならと思いつつ、もしお互いの気持ちが通じるようなことになったら、彼の方が辞めさせてしまうのでは…。 そんなふうに思ったから。 ◇ 「…あ…っん…ぁ…ぁ…っ…」 『稟花ちゃん、もっと声出して』 中に指を出し入れしながら耳元で囁くように言うと、彼女はその通りに甘い声を発した。 すっかり、リュウジのペースに乗せられて彼女はいつも以上の反応を見せる。 「…ぁ…っはぁ…っ…んっ…リュウ…ジ…」 そして、脚を大きく開きガッシリと腕で押さえられ、彼が秘部に唇を寄せる。 カメラが回っていても恥ずかしいなんて、今はそんなことはどうでもよかった。 ───やっぱり、リュウジさんでないとダメ…。 彼を好きになって、別の人に代わってもらったが、最後までイくことができなかった。 もちろん仕事だから、そういう演技をしたけれど。 今は彼が目の前にいるだけで体が敏感に反応してしまい、気持ちが伝わってしまいそう…。 でも、それでもいいと思う自分がいる。 嘘でもいい、今だけは私だけを見ていてくれるから。 初めての人だった。 好きという気持ちがないまま、抱き合うのには抵抗があったけれど、とっても素敵な人だったし、すごく優しくしてくれたから、不安もいつの間にかどこかに消えてしまっていた。 この業界に飛び込んだのは、ずっと籠の鳥だった自分に嫌気が差したから。 “どうにでもなれ”、そんな思いだったけど、市野さんもリュウジさんもそんな私に優しく接してくれて…。 「…あぁぁぁっ…っ…ぁ…っん…っ…」 彼のモノが入って来る。 一つになれたんだと思うと嬉しい反面、なんだかとても切なくなる。 それがわかったのか、リュウジは手をしっかりと握って、彼女にくちづけた。 『稟花ちゃん、この前なんて言おうとしたの?』 「え?…それ…っぁ…っ…はぁ…んっ…」 『ちゃんと言って。でないと、イかせてあげないよ?それでも、いい?』 際どいところで彼は、稟花の一番感じるところを外してくる。 まさか、こんな時に聞かれるとは…。 「…やぁっ…ぁ…っ…あぁ…っ…」 『ほら。言わないと、こうしちゃうよ』 ───意地悪しないで…。 思っても、口には出せない。 好きなんて…。 「…あぁぁっ…っ…っん…っ…」 ───こんなの嫌。 焦らされて、我慢の限界に来ていた稟花。 言ってしまえば楽になる、でも…言ったらもう…。 「…き…」 『ん?稟花ちゃん、聞こえないよ。ちゃんと言って』 「…好…き…ぁ…っ…」 想いを吐き出した瞬間、彼のモノが稟花の一番感じるところを突いてくる。 「…やぁっ…んっ…っ…イ…っちゃ…う…ぁ…っ…」 何度も何度も…最奥を突き上げられて、稟花は呆気なくイってしまったが、最後まで彼の顔を見ることはできなかった。 ※ このお話はフィクションです。実在の人物・団体とは、一切関係ありません。作品内容への批判・苦情・意見等は、ご遠慮下さい。
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