SLS
No.3 男友達


あたしには、男友達がたくさんいる。
その中に彼は、含まれるのだろうか?
恋人なのか、男友達なのか…。

「町田さんって、男友達なんですか?」
「はぁ?なんだ。いきなり、男友達って」

町田さんには、あたしの言っている意味がわかっていない。
こんな言い方では、彼でなくてもわからないだろう。

「だ・か・ら・、町田さんは、あたしの男友達かってことですよ」
「お前は、そう思ってるのか?」
「う〜ん。わかりません」
「わかりませんって、なぁ」

ガックリ肩を落とす町田さん。
本当は、わかってる。
町田さんが、男友達なんかじゃないことを。

「お前は、男友達と二人で、デートするのか?」
「しないかな?」
「かな?かよ…。まあ、いい。じゃあキスは?」
「キスですか?」

黙って領く、町田さん。
男友達とキスはしない。
じゃあ、町田さんとならキスするの?

「しないんじゃないですか?」
「だろう?」

妙に自信たっぷりに言う町田さんだったが…。

「だったら、あたしにとって町田さんはやっぱり男友達ですね」
「なんで、そうなるかなぁ」
「だって、町田さんとキスしたことないですもん」
「そうか?」
「そうですよ」

町田さんとは微妙なデートはしたが、キスはしたことがない。

「だったら、してみるか?」
「男友達とは、キスしないですもの」
「そういうこと言うか」

町田さんは、あたしを抱き寄せると唇に柔らかいものが触れた。
不意打ち!と思ったけど、それはとっても優しくて心地いいもので…。
こんなキスするの久しぶり?ううん、初めてかも。
知らぬ問にあたしは、町田さんの背中に自分の腕を回していた。

「これでも男友達か?」
「どうかな?」
「こら、まだ言うか。この口は」

再び、町田さんの唇が重なる。
キスしてもらいたいから、何度だって言う。
町田さんは、やっぱり男友達。


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