メゾン塚田
Story22

R-18

「何、あの二人。アイコンタクトなんて取っちゃって。もしかして、あたしと別れた後、いい感じになっちゃったの?」

真由も海が迎えに来た時点でそんな予感はしていたが、今の二人はあまりにらぶらぶで、嬉しい反面自分の知らないところで何があったのか、気になって仕方がない。

「そうなのよ。海さん、有無も言わさずティナちゃんを自分の部屋に連れて行ってね。まぁ、あたしも知ってるのはそこまでなんだけど、あの様子からうまくいったんだなって」
「そっかぁ。ティナちゃんの想いが、海さんに届いたのね」

黙って頷く、帆波。
『大丈夫だよ』と言っていた、湊の言う通りだなと思った。

+++

「高畑。これ、Excelで表を作っておいてくれないか。取り敢えず、明日中くらいで」
「はい、わかりました」

ティナの席に、海が手書きの書類を持ってやって来た。
最近、彼はこんなふうによく仕事を頼むようになった。
もちろん、彼女と話がしたいからに決まっているが…。

「あのさ。今夜、来るか?」

そう、小さく耳打ちするように言われて、ティナは咄嗟に周りを見回した。
海もその辺はきちんと確認した上で、ここへ来たのだろう。
みんな外に出ていたり、会議でほとんどの者が席を外していた。

「いいんですか?」
「構わない。っつうか、汚いんだよな俺の部屋」
「それって、遠回しに掃除をしろって言ってます?」

彼の部屋の汚さは、初めて海の部屋に行った時に既に確認済。

「いやっ、まぁ…そうなんだけど」

バツが悪いのか、海は短い髪をガシガシと手で掻きあげる。
本当はこんなことを言うつもりはなく、ただ部屋に来て欲しかっただけなのだが、面と向かって言うのが恥ずかしかっただけ。
それをティナもわかっているから、内心とても嬉しく思っていた。

「いいですよ。お掃除してあげます」
「してあげます?いつから、ティナはそんなに態度がデカクなったんだよ」

ほんの少し前までティナが話し掛けても、海に適当にはぐらかされていたのが今はその逆。
彼に話し掛けてもらえるだけで、ティナは毎日会社に来るのが楽しくて仕方がない。

「前からですよ。海さん、知らなかったんですか?」

そう言ってクスクスと笑うティナが可愛くて、ここが会社でなかったら即抱きしめて押し倒しているところだった。
そんな想いを悟られないよう、海は敢えて強がって見せる。

「で、来るのか?来ないのか?」
「行きます」

ティナの返事は初めからわかっていたが、目を見てはっきり言われるとやっぱり嬉しい。

「ついでに晩飯も頼んでいいか?」
「いいですよ。私、こう見えても料理は得意ですから」
「じゃあ、一緒に帰ろう。俺、今日は早く上がれそうだから」
「はい」

「海さん、電話です」と呼ぶ声が聞こえて、海はニッコリ微笑むと急いで席に戻って行った。



海に誘われてから、ティナは一日中落ち着かなかった。
帆波や真由にも、顔がニヤけてると散々冷やかされたし…。

「ごめん、待たせて」

会社の1階ロビーで待ち合わせをしていたが、海は帰りがけにバタバタしていて、ティナの方が先に来て待っていた。

「いいえ」

―――えっ…。

自動ドアを抜けて少し歩き出した時、海の手がティナの手をしっかりと握る。
まだ、会社を出たばかりで、誰かに会うかもしれない。
なのに彼を見れば、全くそんなのを気にしないという表情。

「海さん、誰かに見られるかも」
「あ?別に俺は気にしないけど。ティナは、嫌だったのか?」
「嫌なんて…嬉しいですぅ」

夢でもいいと思ったけれど、やっぱり夢じゃない。
胸の奥底がジーンっと熱くなって、わけもなく涙が出そうになる。
99%諦めていたのに…。
こんな大逆転があるなんて…。

「どうした?」
「いいえ、なんでもありません。夕食は、何にしますか?」
「そうだな。ティナの得意料理」
「得意料理ですか?」
「俺、好き嫌いないから」
「わかりました。じゃあ、お豆腐を使ったものにしましょう。体にもいいし」
「楽しみだな」

手を繋いで、近所のスーパーで食材を選ぶ。
まるで、新婚さんのよう。
彼の部屋は相変わらずだったけれど、あんまり綺麗過ぎるのも…。
好きな人の部屋を掃除するというのも、それはそれでいいものだし。

「すぐ、支度しますね」
「その前に」
「…っん…っ…」

―――ちょっ、海さんっ…。
ティナに言葉を言わせないよう、海は彼女の唇を塞ぐ。

「海さ…んっ…待っ…て…」
「待たない」
「夕飯は」
「後でいい。まず、ティナをいただいてからにする」

―――いただいてって…。

「…ぁっ…ん…っ…」

後頭部をしっかり抑えられて、息もできないほどの激しいくちづけ。

『あぁ、いくらでも。気の済むまで、してやるよ。息もできないくらいのやつを』

―――これが、そうなの?

「…海…さ…ん…っ…」
「さんは、いらない。海でいいよ」
「…か…い…」

何度も何度も角度を変えて、舌を絡める。
静かな部屋にピチャピチャという音だけが響き、なんともエロチック…。

「…はぁっ…っ…んっ…」

彼に支えられていなければ、ティナは立っていられない。

「ティナ、そんなことでどうする?まだまだ、これからなのに…」
「なっ…」

―――まだまだ、これからって…。
そんなに経験があるわけではないティナには、これだけでもかなりの衝撃だったのに…。
口を塞がれたまま、海の手はティナのスカートを巻くって布越しに秘部に触れる。

「…やっ…ぁっ…んっ…」
「キスだけで、濡れちゃった?」
「…そんな…こと…っ…」

―――海さんって、ちょっとイジワルかも…。

「ティナ。もっと、俺を感じて」

耳元で囁くように言われて、それだけでも感じてしまう…。

「…ぁっん…か…いっ…イ…ジ…ワル…しな…い…で…っ…」
「わかったよ。ベット行こうか」

海はティナを抱き上げて、ベットに沈めると上から覆いかぶさる。
鼻の頭がくっ付きそうなくらいの至近距離に海の顔があった。

「愛してる、ティナ」

さっきとは全く違う、唇を挟むようにしてくちづける。

「私も海が、好き。愛してます」
「ティナ」

ティナを包み込むように抱きしめると、ブラウスのボタンを一つずつ外していく。
淡い水色のブラに覆われた豊かな胸。
それをちょっとずらすと、既に硬くなった淡いピンク色の蕾が顔を出す。

「…っ…ぁっん…っ」

生暖かいものが触れて、我慢しようとしても声が漏れてしまう。

「声我慢しないで、ティナの声が聞きたい」
「…あっ…ん…っ…」

舌で転がされて時々吸われて、甘噛みされると自分が自分でないみたい。
手が腰のラインを沿ってスカートの中に入ってくると、さっきよりもまして濡れている。

「…っ…やぁっ…んっ…」

海の指がくちゅくちゅと音を立てて、内壁を掻き回す。
それだけでも、イってしまいそう…。

「…っあぁぁぁ…っ…んっ…イっ…ちゃ…う…っ…」
「いいよ、イって」
「…ぁっ…ぁっん…っ…っ…」

仰け反るようにしてティナは、イったようだった。
ほとんど服を身に着けた状態だったから、ものすごくエロい…。

「俺、余裕ないわ」

お互い身に纏っていた邪魔なものを全部剥ぎ取って、一気に繋がる。
すぐに海のモノが入ってきて、ティナはフリーズ寸前だった。

「…っあぁぁぁ…っ…んっ…っ…」
「ティナ、そんなに締めるなっ…」
「…だってぇ…ぁっ…っん…」

二人の限界は近い。

「…くっ…ダメだ…イくぅ…」
「…あぁぁぁ…っ…っ…」

イったのは、ほとんど同時だった。



「ティナ。ごめん、無理させた」

ティナの瞳からは、一筋の光るものが流れていた。

「ちがっ、違うんですっ。海さんとひとつになれたのが、嬉しくて…」
「ティナ…」

こんな可愛い子を泣かせるなんて…。
男として、失格だ…。

「俺もティナと一つになれて、嬉しいよ」
「ほんとですか?」
「あぁ」

海は、涙の後を拭うようにくちづけて、ぎゅっとティナを抱きしめた。


※ このお話はフィクションです。実在の人物・団体とは、一切関係ありません。作品内容への批判・苦情・意見等は、ご遠慮下さい。


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