「帆波さん、どうしたんですか?随分、お疲れみたいですけど」
いつもなら自販機の前でオヤジ体操をしている帆波が、コーヒーが抽出されるのも待てずにぐったりと椅子の背に凭れて天井をボーっと見つめている。
―――お疲れもお疲れ、散々な目に遭ったわ。
はぁ…。
ティナに付き合って下着を買いに行ったはいいが、自分も湊のために買ったことが海から伝わってしまい、散々な目に遭ったのである。
自業自得とはいえ、1夜であんなにヤッタのは初めてではないだろうか…。
―――こんなこと、自慢にも何にもならないんだけど…。
「帆波、俺のためにこんな下着を選んでくれたんだぁ」
それは純白の総レースでできていて、透け透けなんだけど肝心なところは見えそうで見えないという、なんとも男心をそそるものだった。
「湊さん、喜んでくれるかなって」
自分でもこんなにしおらしい女だったなんて、知らなかったわよ。
ただ、この一言が余計に彼を暴走させることになろうとは…。
「あぁ、すっげぇ嬉しいよ。でも、覚悟してね」
「え?」
―――覚悟って…。
「…ぁっ…ん…っ…湊…さんっ…」
「帆波、湊って呼んで」
「…っ…湊…」
息もできないくらい、それでいて彼のくちづけはとても優しい。
舌を絡め合って、帆波の口元を透明な液体が伝う。
「その顔、たまらないよ」
「…んぁっ…もっ…と…っ…」
「ん?もっと、どうして欲しいの?」
湊の唇が離れてしまうのがとても名残惜しくて、ついせがんでしまう。
―――こんなにあたしって、キスが好きだったかしら?
ううん、それは相手が彼だから。
「…キス…して」
「いくらでも、してあげる」
何度も何度も角度を変えて、舌を絡め合う。
無意識のうちに彼の頭を抱えるようにして髪に指を差し入れると、猫っ毛なのかとても柔らかい。
「…ぁっ…んっ…」
レースのブラの上から膨らみを揉まれただけなのに感じてしまうのは、キスだけで全身まで酔わされてしまっていたから。
「今夜の帆波は感じやすいんだね、可愛いよ。でも、まだまだこれからだからね」
「…やぁ…っんぁ…っ…」
スルリとブラのストラップを肩から外し、直に膨らみに触れられ、硬くなった蕾を指で弾かれる。
体中を電気が流れたような衝撃が走り、帆波の体は大きく仰け反った。
それに気をよくした湊は容赦なく帆波の胸を攻め、蕾に吸い付くと舌で転がしたり甘噛みしたり。
「…あぁぁっ…っん…っぁ…っ…」
「いい声だね。もっと、聞かせて」
湊の手が帆波の足を割ってショーツ越しに秘部に触れると、そこはもうしっとりと濡れている。
「もうちょっと見ていたいけど、せっかくの下着が汚れちゃうね」
ショーツを足から抜かれ、生暖かいものが秘部に触れる。
「…ゃっあぁぁぁっ…っ…んっ…っ…」
「帆波、嫌じゃないでしょ?気持ちいいって、言って」
「…だっ…てぇ…ぁっん…っぁ…っ…」
突起を吸われ秘部に入れられた指が、器用に帆波の内壁を掻き回す。
「ここ?」
「…そ…んな…こ…と…っん…ぁっ…っ…聞…か…な…い…でっ…ぁっ…」
わざと聞いてくるのだが、彼は帆波の一番感じるところをピンポイントでついてくる。
湊にはどこが感じやすいのか、全部わかっているのだから。
「…ぁ…っん…だ…めぇ…っ…イ…くぅ…」
「イって、いいよ」
「…あぁぁぁぁっ…っ…んっ…」
一際大きな声を上げた後、帆波はぐったりと横たわったまま動かない。
湊は帆波の額に軽くくちづけて、急いで自身に準備を施す。
彼女の前では余裕を見せていたが、本当は湊の方がヤバイくらい。
多分、帆波の中に入ったらすぐにでもイってしまうだろう。
「帆波、入れるよ」
黙って頷く帆波の足をMの字に開き、湊は自身をゆっくりと沈めていく。
一度イって敏感になっていた彼女の口からは、甘い声が漏れた。
「…ぁっん…っ…」
「…うぅっ。帆波の中、気持ちいい」
最後まで入れるとすぐにでも動きたいのを我慢して、帆波をぎゅっと抱きしめる。
というか、動いたらあっという間にイってしまいそうだったから…。
「湊…愛…してる…」
「俺も愛してるよ」
少しの間二人は見つめ合っていたが、くちづけを交わすとそれが合図かのように湊が挿入を繰り返す。
ベットが軋む音が聞こえる。
―――そんなにしたらっ、あたし…壊れちゃう…。
「…あぁぁぁぁっ…んっ…っ…」
「…ぅっ…帆波…っ…」
彼女を壊してしまうかもしれない…。
そう思っても、止めることができなかった。
それくらい、彼女の中は心地よくて…。
「…ダメぇ…壊…れ…ちゃ…う…っ…んっ…ぁっ…っ…」
「…ごめっ…止められ…ない…」
「…あぁぁぁぁぁっ…イ…くぅ…っ…ぁっん…っ」
「…俺っ…も…っ…イく…」
帆波の腰をグイっと引き寄せて最奥まで突くと、二人同時に果てた。
今夜の湊は、『覚悟してね』の言葉通り、一度や二度で済むはずはなく…。
最後は帆波の腰が立たなくなって、彼が諦めた形だった。
「もうっ、湊ったら。どうしてくれるの?立てないじゃない」
「ごめん…。あんまり、帆波が可愛いから」
シュンとしてしまった湊を見ると、これ以上怒れなくなってしまう。
―――それに、可愛いからなんて反則。
「反省してる?」
「してる。ごめんね」
彼の腕枕は、キスの次に大好きかもしれない。
「お礼に、帆波の希望を何でも叶えてあげる」
「え?」
「俺ばっかり、いい思いさせてもらったから。何か買ってっていうのでもいいし、どこかに連れて行ってっていうのでも、なんでも」
「いいの?」
「あぁ。考えておいて」
とは言われても、いざとなると思いつかないもの。
―――ティナちゃんだったら、どうなのかな?
「ねぇ、ティナちゃん」
「はい」
「もし、海さんに何でも希望を叶えてあげるって言われたら、ティナちゃんはなんて答える?」
「何でも、ですか?」
「そう。欲しい物を買ってもらうのでもいいし、どこかに連れて行ってもらうのでもいいんだけど」
う〜んと考え込んでしまったティナ。
いきなり言われても、なかなか思いつかないのかもしれない。
「ずっと側にいてって、言います」
「え?」
「物なんていらない。どこにも連れて行ってもらわなくてもいいから、海さんには私の側にずっといて欲しいんです」
「ティナちゃん…」
―――あぁ、なんて純粋で可愛い子なのかしら。
それに比べて、あたしは…。
「湊さんが、言ったんですか?」
「うん」
「いいなぁ。湊さん、帆波さんにゾッコンなんですね」
「そうかな」
「そうですよ。私は、海さんがいつか自分の前からいなくなっちゃうんじゃないかって、不安でたまらないんです」
―――いつか、いなくなる…。
そんなこと、考えたこともなかった…。
でも、先のことなんてわからないし、湊があたしの前からいなくなる日が来るかもしれない。
そんなの嫌、絶対嫌っ―――。
「帆波さん?」
言いようもない不安に帆波は、ティナの呼びかけも耳に入らなかった。
※ このお話はフィクションです。実在の人物・団体とは、一切関係ありません。作品内容への批判・苦情・意見等は、ご遠慮下さい。
NEXT
BACK
INDEX
SECRET ROOM
TOP
Copyright(c)2006-2013 Jun Asahina,All rights reserved.