Mini Mini STORY
ドラマみたいな恋がしたい
3


「彼女が、結婚…」

突然のスクープ記事に俺はどう、その事実を受け止めていいかわからないでいた。
『好き』と言われて、本当は嬉しかった…。
こんな俺を好きだと言ってくれた彼女の気持ちがとても。
その彼女が、別の男と結婚なんて…。
だからって、今の俺には何も言う権利なんてない。
決めたのは、彼女なのだから。

「いいのかよ」
「え?」
「お前も好きなんだろ、彼女のこと」
「俺は…」

長い付き合いの親友には、俺の気持ちなんて全てお見通しなのだろう。
…あぁ、好きだよ。
だけど、それをここで言ってどうなる?
今更、彼女の気持ちを掻き乱したって遅いんだ。

「何、カッコつけてんだよ。彼女は自分の立場なんか捨てて、お前に本音でぶつかって来たんじゃないのか?なのに、お前は逃げるのかよ」

逃げるのか…。
そうだ、俺はただ逃げていただけ。
いつかは、気持ちが離れていってしまうんじゃないか。
怖かったんだ、愛されることも愛することも…。

「記者会見場は―――」
「車なら、とっくに用意できてるさ」

ニヤッと白い歯を見せて笑う親友に感謝しつつ、俺は急いで彼女の元へ。
そして、今度こそ。


To be continued...



「いやぁ〜ん、こんないいところで終わりなんてぇ。来週まで待てないわよ」

今夜は、自分の家で一人ドラマを見ていた桜にいつものように冷めた言葉をぶつける信哉はいない。
それが寂しいと思ってしまうのは、側にいるはずの人がいないからなんだって思いたい。
―――信哉…。
クッションをギューっと抱きしめて彼のことを考えていると、玄関のブザーが鳴った。

『誰かしら?こんな時間に』

宅配便なんて頼んでないし…。
何度も鳴り響くブザーに桜は、抱えていたクッションに力を込めた。


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