Mini Mini STORY
ドラマみたいな恋がしたい
6


信哉は桜の体をクルッと回転させて自分の方へ向かい合わせにすると、腰に腕を回して密着させる。
抱えていた薔薇の花束がつぶれてしまいそうだったから、それを大事に近くのテーブルの上へ。
こんな正面で見詰め合ったことなんて、あっただろうか?
―――どうしよう…。
付き合い始めた頃より、ドキドキするかも。

「あ?」

そんな時、おもむろに信哉の額に桜の手が触れた。

「熱でもあるんじゃないかな、なんて」
「あのなぁ」

「何でそうなるか」とガックリ肩を落とす信哉。
確かに突然、夜遅くに花束持って現れてこんなふうに抱き合って見詰め合ってたら、熱でもあるんじゃないかと桜が疑っても仕方がない。
それくらい、二人の関係はあっさりさっぱりし過ぎていたのだから。

「だって」
「こんな俺は、変?似合わない?」
「そんなことないけど、あんまり体によくないかも」

―――似合わないどころか、似合い過ぎ。
だけど、ただでさえすっごくカッコいいのにこんなことされたら、ドキドキしっぱなしで体によくないわよ。
彼は見掛けによらずクールだからこそ普通にいられたのだと、それがドラマの中の韓流スターみたいになったら、体がいくつあっても足りないくらいノックアウトされてしまうに違いない。

「体に?」
「うん。信哉、嵌り過ぎだもん。慣れてないから、ドキドキしちゃう」
「じゃあ、慣れて」

言葉と共にキスが降ってきた。
それも、ワザと唇を外して額や鼻の頭にだけ。
くすぐったいと思う反面、今まで以上に感じてしまうのはなぜだろう。

「…信哉…っ…」

そんな桜の気持ちを知ってか、狙いを定めたように唇が重なると何も考えられないくらい全身の力が抜けて行く…。
時折耳元で囁くように言う「愛してる」の言葉にも、彼に支えられていなければその場に崩れ落ちてしまいそう。

―――あっ…ん、ダメ…信…哉…。


NEXT
BACK
INDEX
PERANENT ROOM
TOP


Copyright(c)2006-2013 Jun Asahina,All rights reserved.