Mini Mini STORY
ドラマみたいな恋がしたい
8
…んん…っ…あれ?
何で、信哉がここに…。
6時きっかり、体内時計が反応して目覚めた桜の目の前にスヤスヤと気持ち良さそうに眠っている信哉の顔が。
―――そうだった。
昨夜遅くに突然、信哉が尋ねて来て…それも、大きな薔薇の花束を持ってね。
何かあったんじゃないかって心配したんだけど、どうもそうじゃないみたい。
『信哉って、ちっともロマンチックじゃないのね』
あたしが、あんなことを言ったから…
信哉は何も言わないけど、きっとあたしのことを想ってしてくれたこと。
それも、お友達の勝彦さんに聞いてね。
毎月、付き合った日に彼女に花束を贈ってると聞いて羨ましいなぁって思ったのは事実。
まぁね、信哉がそういう人じゃないって知ってたから、あたしもそのことをどうのって言うつもりもなかったし。
でもね、そいういう信哉だからこそ、こうして来てくれたことがすっごく嬉しかったの。
頬に軽く手を触れると彼の腕枕で眠っていたことに今更気付いて、慌てて桜は頭を上げた。
―――腕、痺れてないかしら?
あたしは気持ちよく眠れたけど、もしかして信哉は眠れなかったんじゃ…。
頬に触れていた手を離そうとした時、彼の手が重なった。
「ごめんね。起きちゃった?」
「ううん。もう起きてた」
眠ってるとばかり思っていたが、桜が色々考えているうちに信哉は目を覚ましていたらしい。
桜は、上半身を肘で支えるようにして体を起こす。
「大丈夫?腕、痺れてない?」
「ん?平気みたい」
腕をパタパタさせてみせる信哉。
「それより」
「それより?」
「おはようのキスは、しれくれないのか?」
「え…」
―――おっ、おはようのキス?!
今までの信哉からだったら、絶対に出てこない言葉。
「ほ〜ら」なんて、握っている手に軽くくちづけたりして…。
何も、ここまで変わらなくっても…。
とは思っても、信哉が望むなら、彼女としてしてあげなくっちゃね。
桜が「チュッ」と軽く唇に触れるだけのキスを落とすと物足りなかったのか、彼の方から再びキスが返って来る。
「ちょっ、信…哉っ…」
朝だっていうのに信哉が迫ってくるものだから、危うく会社に遅刻しそうになった。
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