ひとりぼっちのHoly Night
LAST STORY
2/E
「お邪魔します」
「あんまり綺麗じゃないけど、どうぞ」
モデルルームという言葉がぴったり当てはまるような、シンプルだけど洗練されたインテリアで統一された室内。
何十帖あるかわからないリビングにさりげなく置いてある家具も、実は有名なデザイナーの物だったりするのだろう。
―――ここって、まさか家族で住んでいるんじゃ…。
そうなると、この家には社長もいることになってしまうわけで…。
「速水さん。この家には、ご家族と住んでいるんですか?」
「俺?一人だけど、なんで?」
「こんなすごい家なので、てっきり社長もいるのかなって」
「社長?」
「速水さんは、うちの会社の専務なんですよね」
「知ってたのか?」
隠すつもりはなかったが、なんとなく言いそびれていたのは事実。
でも、ノエルが知っていたとは…。
「ごめん、隠すつもりはなかったんだ。どうせ、バレルだろうと思ってたし」
「いいんですか?私なんかで」
専務という偉い人が、ノエルのような一OLが相手でもいいのだろうか?
「いいも何も、ノエル以外の女性なんて、俺には考えられない」
この言葉が、速水の全てだった。
もう一度ノエルの存在を確かめるように抱きしめたが、彼女にちゃんと伝わるだろうか?
「ノエル。好きだ」
「私も速水さんが、好きです」
ノエル―――。
速水はノエルの顎に指を添えて上向かせると、そっとくちづける。
彼女を怖がらせないよう、初めは軽く触れるだけのもの。
「そうだ。プレゼントを渡すの忘れてた」
すぐにでも押し倒したいところだったが、ここはまずプレゼントを渡しておかないと。
鞄の中に大事にしまっていた、水色のラッピングにクリスマス限定の赤いリボンのかかった箱。
―――気に入ってくれるだろうか?
「誕生日、おめでとう。気に入るかどうかわからないけど、開けてみて」
「ありがとうございます。なんですか?」
ノエルは、赤いリボンを解いて水色の箱を開ける。
「可愛いっ」
小さなハート形のキーの中央にダイヤが付いたペンダント。
ノエルの様子から、どうやら気に入ってもらえたようだ。
「気に入った?」
「はい。でも、こんな素敵なものをいただいてもいいんですか?」
これは、ノエルにもわかるティファニーのもの。
きっと、高価なものに決まってる。
「いいよ。俺を誰だと思ってるんだ?ノエルが気にすることじゃない」
「でも…」
「着けてやるよ」
速水はペンダントを手に取ると、ノエルに着けてあげた。
その時、うなじに目がいって妙に焦ったが…。
「似合うよ」
「本当ですか?」
「あぁ」
「あの。でも…私、速水さんのプレゼントを何も用意していなくて…」
お花のお礼もしていなかった上に、クリスマスのプレゼントも用意していなかった。
もう逢ってはもらえないと思っていたから、かえってプレゼントは迷惑なんじゃないかって…。
「プレゼントなら、ノエルが欲しい」
「え…」
―――欲しいって…。
「俺、ノエルを困らせてる?」
「そんなこと…」
「なら、俺を信じて。怖くないから」
黙って頷くノエルを速水は抱き上げると、2階にある自分の寝室へと移動する。
一人で住んでいると言っていたが、一体どれだけの部屋があるのだろうか?
「家の中で迷子になりそうなくらい、広いですね」
「迷子か。一応、ハウスメーカーを経営している以上、自社の製品は試さないといけないだろう?これでも、宣伝を兼ねてるんだからな。言っとくけど、自腹だし」
―――そうだった。
緊張していたノエルも少しだけ、表情が和らいだ。
彼の部屋は落ち着いた色調で統一されていて、とても居心地が良さそうだった。
これなら、よく眠れそう…。
フカフカのベットにゆっくり沈められて、目の前に速水の顔がある。
心臓の鼓動が段々と早まってくるのが、わかった。
「大丈夫、俺に任せて」
速水は着たままだったスーツのジャケットを脱ぐと、ネクタイもスルリと首から引き抜く。
それがとても様になっていて、ノエルは思わず見惚れてしまった。
「どうした?そんなに見られると、ヤバイんだけど」
「へっ」
―――ヤバイって…。
「やっ、あの…速水さん、カッコいいなって思って…」
「ノエル、そういう可愛いことを言わないでくれる?俺も歯止めがきかなくなる」
すぐに速水の唇が、ノエルのそれに重なって…。
でも、さっきとは違うとても深いもの。
「…っん…っ…」
―――うわぁ、何?私、変な声出してるっ…。
自分でも何が起こっているのかわからなくて…。
彼の舌が入ってきて、息もできないくらい。
「…やっ…ぁっん…っ…」
「ノエル、声は出していいんだ。我慢しないで」
「…で…もっ…っ…」
―――キスって、こんなに…。
唇と唇を合わせるだけだと思っていたノエルには、少々刺激的過ぎたかもしれない。
ただ、こんな可愛いノエルを前にして、速水には抑えることができなかったのだ。
「…ひゃ…っん…っ…」
またも変な声が…。
耳元で息を吹きかけられて、我慢していても声が出てしまう。
「耳弱い?」
「…わか…っ…ぁ…っ…」
―――そんなこと、わからない。
耳が弱いかと言われても、普通そんなところに触れられることはあまりないわけで…。
「…や…ぁっ…っ…」
耳たぶを甘噛みされて、何がなんだかわからない。
それだけでパニックになろうかという時に白いアンゴラのニットの中から速水の手が入って来て、胸の上まで捲くられる。
淡いピンク色のブラが露になって、恥ずかしさのあまり一気に顔に熱が帯びた。
「…ちょっ…まっ…」
「どうした?」
「恥ずかしい…です」
「慣れれば、どうってことないさ」
―――慣れればって、そういう問題では…。
そんなノエルを他所に速水は、ニットを首から引き抜くと呆気なくブラも外してしまう。
あまりの早業に言葉も出ない。
「そんなに見ないで下さい」
胸だって、大きくないし…。
「どうして?すっごく、綺麗なのに」
「だってぇ…胸も大きくないし…」
「大きいからって、いいわけじゃないだろ?」
「…っあ…んっ…っ…」
おもむろに彼の大きな手が二つの膨らみを覆い、優しく揉まれる。
「俺の手にはちょうどいい大きさだし、それに感度も抜群だな」
「…やぁっ…そん…なっ…っ…」
感じて硬くなった蕾を指の腹で捏ねられて、唇で吸われ舌で転がされると、今まで感じたことがないくらいの衝撃が全身を走る。
「…っあぁぁぁ…んっ…っ…」
恥ずかしいとかそういうことは、どこかにいってしまうくらい…。
速水の片方の手がウエストのラインを沿って、スカートのファスナーを下ろし、ストッキングと一緒にそのまま足から抜いてしまう。
―――早っ…。
などと、感心している場合ではないのだが…。
残るはブラとお揃いの淡いピンク色のショーツだけ。
「…あっ…んっ…ぁぁっ…っ…」
布越しにまだ誰にも触れられたことのない場所を触れられて、今までで一番大きな声が出てしまい、思わず指を咥えた。
「声、我慢しなくていいと言っただろ」
「でも…なんか、変なんです」
「感じてる証拠だから」
「邪魔だな」という言葉と共にショーツも体から抜かれ、ノエルは生まれたままの姿になった。
しかし、速水の方は、まだ服を着ている。
「ズルイ…私、ばっかり」
「ん?」
服を着たままの速水がノエルには、納得できないよう。
速水はふっと微笑むと、彼女と同じように生まれたままの姿になる。
初めて見る男の人の体に、ノエルは視線をどこにもっていっていいかわからない…。
「なんだよ。俺も全部脱いだんだから、ちゃんと見てくれないと」
「でも…」
彼の体はとても引き締まっていて、美術館にある銅像みたいかも…。
「…っ…んっ…」
―――何?
「痛い?」
「いえ…」
「指、増やすから」
―――指?
「…っあぁぁ…っん…っ…」
「だいぶ、濡れてるけど。もうちょっとかな」
「…やぁ…っ…っ…んっ…」
速水の指が、ノエルの中を掻き回す。
―――こんなっ…。
「もういいか?俺も我慢できない」
彼とてこれ以上抑えられない状態だったから、早く彼女の中に入りたい。
素早く準備を施して、入口に自身をあてがう。
「ノエル、ゆっくり入れるから。痛かったら言って」
「はい…っ…んっ…」
―――痛っ…。
痛かったら言ってと言われても…。
「ごめっ。もう少しだから」
「…あぁぁっ…っ・・・っ…」
あまりの痛さにノエルの瞳からは、一筋の涙が頬を伝う。
「やめるか」
「…ないで…」
『ノエルが欲しい』
そんなことを言ってしまったばっかりに…。
「やめ…ないで…」
「ノエル…わかった。もう少しだけ、我慢して」
「…んっ…っ…」
「全部入ったよ」
頬を伝う涙を速水は唇で拭っていく。
痛さもあったが、好きな人とひとつになれたことがノエルには何よりも嬉しかった。
「速水さん…」
「遼だ。遼って、呼んで」
「遼…さん」
「さんは、いい。俺にとってノエルが特別なように、ノエルにとっても俺は特別であって欲しいんだ。だから、呼び捨てで構わない」
「遼」
「そうだ、ノエル。ちょっと動くけど、多分もう止められないと思う」
ノエルには悪いと思ったが、速水は我慢できなくて少しずつ律動を早めて行く。
「…あぁぁぁぁっ…っ…んっ…っ…」
「ノエルっ…」
あまりの気持ちよさに速水が経験した中の史上最速で、イってしまいそう…。
ベットの軋む音が、段々と早くなる。
「…くっ…ノエル…愛してるっ…」
「…私…もっ…あぁぁっ…っ・・・んっ…愛し…て…ま…す…」
ノエルの方が、少し早くイっただろうか?
「ノエル、大丈夫か?ごめん、無理させて」
「いいえ。私、速水さん…じゃなくて、遼とひとつになれたんですね?」
「あぁ、そうだ」
嬉しそうに速水が贈ったペンダントを胸元で握り締めるノエル。
そんな彼女を見つめながら…。
「最高のクリスマスプレゼントをありがとう」
速水はそう囁くように言うと、彼女をぎゅっと抱きしめた。
END
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