「もう千春と神田くん、噂になってるわよ」
「えっ、なんで?」
「なんでって…そりゃあ、成翔の美少女 河合千春にとうとう彼氏出現かってね」
「はぁ?なにそれ」
美少女ってのもわけわかんないけど、彼氏ってなによ。
神田くんは、まだ彼氏じゃないのに。
「知らないのは、本人だけね」
天然もここまでくると化石級だなと遙は、思う。
そういう飾らない千春が遙は大好きだったけど、もう少し自分のこと周りがどう見てるか気付いてもいいのに。
「ねぇ、今度の土曜日にサッカー部の親善試合があるんだって。もちろん、千春も神田くんの応援に行くんでしょ?」
「へ?」
いつものようにお昼にお弁当を食べていると遙に言われたが、彼氏でもある高見くんに聞いたのだろう。
だけど神田くんからは、そんな話は聞いていなかった。
「遙、聞いてないの?」
「うん」
「そっか、でも行くでしょ?」
「どうなのかな」
「どうなのかなって。一応、友達なんだから行くでしょう?」
そういうものなんだ。
後で、神田くんにメールでそれとなく聞いてみよう。
勝手に行くって言って、迷惑だったら困るもんね。
家に帰るとすぐに神田くんにメールを送ってみた。
「今週の土曜日にサッカーの親善試合があるって聞いたんだけど、ほんと?」
『はい、もう知っていたんですね。あつかましいかもしれませんが、応援に来てもらえるとすごく嬉しいんですが…。』
すぐに返事が帰ってきて、応援に来て欲しいと書いてあった。
友達なんだからと言っても、神田くんは律儀に敬語を使ってくる。
こういうところは、真面目なのね。
「うん、遙と一緒に応援に行く。あたしが行くからには、絶対勝ってよね。」
『はい。河合さんが来てくれるなら、頑張ります。絶対、勝ってみせますから。』
相手は強豪の平山学院、いくらうちの学校が強いとはいってもいつも互角の戦いで、対戦成績は向こうの方が上。
土曜日が晴れて、勝ったらいいなってあたしは思った。
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