お互い今は、一分でも一秒でも離れていたくなくて、篠島のマンションへ自然と足が運んでいた。
篠島の外見通り、おしゃれなデザイナーズマンションというやつだろう。
玄関に入るや否やいきなり壁に押し付けられて、貪るようなくちづけをされた。
普段は冷静な篠島からは想像もできないくらい激しい行為に戸惑いつつも、あたしはそれを受け入れていた。
そして彼の手はあたしのTシャツの中に滑り込むように入ってきて、ブラ越しに胸を揉み始める。
「はぁっ…ん。こ…ここ…じゃ、イ…ヤ」
あたしとしたことが、まったくどこからこんな言葉が出てくるのよね。
自分でも、びっくりしたけど…。
「じゃあ、ベット行こうか」と篠島は耳元で囁くように言って、おもむろにあたしを抱き上げた。
「きゃっ、ちょっ篠島!サンダル、脱いでないのに」
「いいよ、そんなの」
篠島は、背は高かったけど線がすごく細くいわゆるビジュアル系。
だから、あたしを軽々と抱き上げるような力がどこにあったのか不思議だった。
廊下を抜けると広いリビングがあって電気を点けていなかったからよく見えなかったけど、かなり広いように感じた。
そして、奥の部屋へ…。
サイドランプだけを灯して、篠島はあたしをゆっくりとベットの端に座らせた。
モノトーンで統一されたシンプルでカッコいいって感じの部屋だったけど、ベットがダブルってどうなの?!
あたし以外の女の子をここに連れて来たりしたのだろうか…。
そんな余計なことが、頭をよぎる。
篠島は、あたしが履いたままのサンダルを脱がせて部屋の端に置いた。
「憂、今何考えてた?」
「え?」
篠島は、床に片膝立ちしてそっとあたしの頬に両手を添えると「隠したって、無駄だ」って、おでこをこつんとぶつけた。
「お前、わかりやす過ぎ。このベットに何人の女を連れ込んだんだとか、思ってただろう」
「げっ、どうしてわかったの?」
なんで、あたしの思ってることそんなに簡単にわかっちゃうわけ?
「心配しなくても、このベットどころかこの家にも入れるのは憂が初めてだから」
「う…そ」
そんなの信じられない。
だって、この男がよ?
どう見たって、何人もの女性を周りにはべらせてるようにしか見えないじゃない。
「嘘って、なんだよ。俺は、会社に入ってからずっと憂が好きだったんだ。なのに他の女を家に連れ込めるわけないだろう?」
「会社に入ってからって…えええ?5年も前から?!」
「そうだよ、悪いか」
ふて腐れるように言う篠島だったけれど、5年もの間あたしを好きだったというの?
増す増す、信じられない。
それにあたしが言うのもなんだけど、誰が見てもいい男なのよ?
そんな男があたしなんかを想って、誰も部屋に入れなかったなんて…。
やっぱり、馬鹿だわ。
「馬鹿ね、なんであたしなんかを5年も好きでいるのよ。もっと素直で可愛い子が、周りにいくらでもいるでしょうに」
「生憎俺は、素直で可愛い子よりも素直じゃないけど、すっげぇ可愛いのに全然自分のことそんなふうに思ってない永峰憂が好きなんだよ」
どうして、そういうこと真顔で言うのよ。
嬉しくて、顔が緩んじゃうじゃない。
「篠島…」
「遼哉だよ」
「遼哉?」
「そう」
遼哉は、着ていたスーツのジャケットを脱いでスルリとネクタイも外す。
襟元の少し開いたYシャツ姿が、なんだかとてもセクシーな感じがする。
ホストになったらすっごいモテそう、なんて余計なこと考えてる場合じゃないんだけどね。
もう一度、あたしを抱き上げるとベットの中央に横たえて、上から覆いかぶさるようにあたしを見つめる。
「憂」
何度呼ばれてももっと呼んで欲しいと思ってしまうのは、なぜだろう?
そして、触れるだけのくちづけを落とすとそれが合図のように深いものへと変わっていく。
さっきの貪るようなものとは違う、どこまでも優しいくちづけにそれだけで酔わされてしまう。
「はぁ…遼哉」
「憂」
少し開いたあたしの唇の間から遼哉の舌がするりと入り込んで、あたしもそれに答えるように舌を絡める。
静かな部屋にぴちゃぴちゃという音だけが響き渡り、それだけでなんてエロチックなんだろう?
遼哉は、あたしに万歳するように両手を上げさせるとTシャツを頭から引き抜いた。
再びくちづけて耳元に吐息をかけられた後に耳たぶを甘噛みされ、思わずあたしは声を出す。
「ひゃん」
「憂、耳弱いんだ」
なんだか、嬉しそうに言う遼哉。
あたしは、耳がすごく弱い。
それはもうバレテしまったから、遼哉のこときっと面白がって何度も攻めるに決まってる。
「そ…んな…こと、な…い」
「そうかな?」
遼哉はあたしの思った通り、何度も何度も耳を刺激する。
「いやぁん…もう」
「そんな可愛い声出されたら、逆効果だってわかってる?」
調子に乗った遼哉は、首筋に舌を這わせるとあたしの胸元にいくつもの赤い薔薇の花を咲かせる。
いつの間にか背中に回された手で、ブラはあっけなくその役目を終えていた。
あたしは、思わず両腕で胸を隠す。
だって、あたしの胸めっちゃ小さいのよ。
「どうして隠すんだ?ちゃんと憂の全部、俺に見せて?」
「イヤ。だって…小さいから…遼哉がっかりさせちゃう」
「そんなことで、がっかりなんてしないよ」
そっと、両腕を剥がすように外された。
あたしは遼哉に見られていると思うと恥ずかしくて目を閉じていたが、「ちっとも小さくなんてないよ。可愛い」って、手のひらで包み込むように覆われた。
優しく揉まれて、時折既にさっきのキスで硬くなっている蕾を指で刺激されると体中に電気が走ったみたいな衝撃が走る。
「はぁぁぁ…ん」
自分でも無意識のうちに喘ぎ声を上げていて、その大きさに慌てて指先を咥えた。
やだ…ほんとあたしったら、こんなにエッチだったの?
胸を刺激されただけで、こんな声を出すなんて今までなかったのに…。
27年生きてきて、それなりに経験はしているのに…この感覚って…。
「声、我慢しないで。憂の可愛い声、俺に聞かせて」
蕾を唇で吸われて舌で転がされるともう声を我慢することなんかできなかった。
恥ずかしさも忘れて、快楽の波にさらわれる。
「はあぁぁぁぁっ…」
遼哉の手がウエストを撫でるようにしながら、ジーパンのボタンを器用に外すと脱がせやすいようにあたしは自然に腰を上げていた。
大腿の内側に手を滑らせるように這わせると既にかなり濡れてしまっているであろう部分の布に触れる。
「いゃぁ…」
こんなに濡れちゃって、淫らな女だって思われるじゃない。
あたしは咄嗟に足を閉じようとしたが、遼哉の体が間に入り込んでいてそれができない。
「憂ったら、こんなに濡れちゃって」
嬉しそうに言う、遼哉。
「や…だぁ、もぅ」
あたしは、急に顔がカーッと熱くなって両手で顔を隠す。
勝手に反応してしまう体が、憎らしい。
「何も、恥ずかしいことじゃないだろう?俺は嬉しいよ、憂がこんなに感じてくれてるんだって。だから、ちゃんと顔見せて」
「憂」って、耳元で囁くように言われて、あたしは指の間からそっと覗くようにして見た。
目の前に遼哉の顔があってまた隠そうとしたけど、今度は遼哉の手に握られてしまった。
「愛してるよ」
遼哉は、そう言って唇を合わせる。
それはどこまでも優しくて、普段の遼哉からは想像もできないくらい。
あたしは、遼哉のYシャツのボタンに手を掛けると肩から滑るように落とす。
しっとりと濡れた上半身は、筋肉が綺麗についていて見惚れてしまうほどだった。
男の人の体を見て、こんなふうに思ったのは初めてで…。
「遼哉って、いつの間にこんなに鍛えてたの?すっごく綺麗」
「たまにジムに行く程度だけど、俺なんかより憂の方がずっと綺麗だよ」
絶対、遼哉の方が綺麗だって思う。
お腹も割れてるし、ウエストだってきゅって締まってるしね。
なんて考えていると一気にショーツを脱がされた。
両足を抱え込むように押さえられたと思ったら、生暖かいものがあたしの秘部に触れる。
「いやぁぁぁぁ…ん」
いきなりのことで、頭の中がパニックを起こしそうだ。
足を抱えられているから、遼哉の姿が影になって見えない。
ただでさえ、何がなんだかわからなくなっているところにおもむろに指が入れられた。
内壁を掻き回すようにされて、思考回路がパンク寸前。
「はぁぁぁ、イっちゃう…」
「いいよ、イっても」
指の数を増やされてあたしはその後、あっけなくイかされた。
ぐったりと力の抜けてしまったあたしは、ただ宙を眺めているとベルトを外す音が聞こえる。
ふと視線を向けると既に遼哉のモノが、下着越しにもはっきりと見ることができた。
意外にもローライズのボクサーブリーフ。
遼哉のことだから、てっきりビキニパンツだと思ったんだけどね。
「今の憂にそんなふうに見られるとマジヤバイんだけど」
遼哉の言う通り今のあたしは素っ裸でだらしなく横たわっていて、それでいてうつろな目で見上げているんだものね。
だけど、体に力が入らないんだものしょうがないでしょう?
「なっ、何がマジヤバイのよ!」
なんて言葉も届くはずがなく、遼哉の指がまたあたしの中に入ってくる。
さっきイったばかりで敏感になっているあそこは、思いっきり反応してしまう。
「いやぁ…遼哉ぁ…」
「憂、イヤじゃないだろ?気持ちいいだろう?」
「そ…んな…はぁぁぁぁっ」
また指だけでイってしまいそうになった瞬間、遼哉自身が何の前触れもなくあたしの中に入ってきた。
「あっ…んっ…」
「憂、そんなに締め付けるな」
「だっ…て…」
腰をしっかりと掴まれて、激しく突かれる。
「もうっ…だめぇ…イっ…ちゃう」
「俺も…」
最奥まで突かれた後、あたしの中で遼哉のモノが放たれたのがわかる。
そして、二人同時にその場に果てた。
暫くの間、お互い繋がったままで遼哉があたしをぎゅっと抱きしめる。
「ごめん。憂の中あんまり気持ちよくて、中で出しちゃった」
「多分…大丈夫。生理もうすぐ来るから」
「もし、何かあったらすぐ言うんだぞ。俺が、責任取るから」
それっ…て。
責任取るって…そういうことよね?
「俺じゃ、嫌か?」
「そう…じゃ、ない…けど」
だって、やっと思いが通じたばかりなのにそんなこと考えられないわよ。
「俺は、そのつもりだから。1人で抱え込んだりしちゃ、ダメだからな」
「う…ん」
遼哉のその気持ちがすごく嬉しかった。
少し小さくなった遼哉自身があたしの中から出て行くと名残惜しさを感じてしまう。
「遼哉」と名前を呼ぶと汗で額にくっ付いているあたしの前髪を指でそっと払って頬を撫でる。
それが、心地よくて…。
そのまま眠ってしまったようで、そんなあたしを遼哉がずっと見つめていたなんてことをあたしは知らない。
← お話を気に入っていただけましたら、ポちっと押していただけるともしかして…。
※ このお話はフィクションです。実在の人物・団体とは、一切関係ありません。作品内容への批判・苦情・意見等は、ご遠慮下さい。
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