ASPHALT☆LADY
Story5


「今度、情報技術の人達と合コンすることになったの。それでね―――」
「へぇ、情報技術ねぇ。良かったじゃない、里穂」

あたしは、里穂の言葉を遮るように言う。
それも、思いっきり嫌味っぽくね。
だって、絶対あたしにも出ろっていうつもりだったに決まってるんだもん。

「ねぇ、憂〜」
「行かない。絶っ対行かないからっ!」
「まだ、何も言ってないじゃない」

里穂は憂がこういう返事を返すことを初めから予測していたが、それでもここで引くわけにはいかないのだ。

「お願い、憂。ちょっとだけでいいから出て?ね」
「だめ!行かないったら行かないの」

―――もうっ、どうして里穂はこうなのよ。
里穂は、無類の合コン好きだ。
それはあたしにはどうでもいいことなんだけど、あたしが困るのはその度に誘われること。
なんだか知らないけど、あたしが参加するといい男が集まるとかなんとか…。
そんなことあるはずがないのにね。
そうやって人数集めのためにあたしをおだてようって魂胆には、乗らないんだからっ。

「今回は情報技術よ?いい男が勢ぞろいなんだから。なんたって、あの清水課長も来るっていうんだからね」
「清水課長?」
「憂、知らないの?清水課長のこと」

横で話を聞いていた愛香が、清水課長という名前に反応して加わってきた。

「うん、知らないけど」
「つい最近、名古屋支社から異動してきて、29歳で課長になったエリートで、ものすごくいい男よ。それでもって独身。あっ、でも篠島くんよりはちょっと劣るかもしれないけど」

どうしてそこに篠島が、出てくるわけ?
それはそうと29歳で課長はすごいわね。
よっぽどできる人なんだ。

「そうそう、もうすごくいい男なのよ。清水課長」

里穂は、この清水課長が狙いなのだろう。
目の輝きが違う。

「じゃあ、その清水課長とやらと楽しく合コンすればいいじゃない」

あたしが行かなくてもっていうか、行く必要もないんじゃないの?

「ダメなのよ。憂が来てくれないと」
「どうして?」
「清水課長がね、憂も来るならって言うんだもの」
「なんであたし?」

なんであたしが来るならなんて、清水課長は言うわけ?あたしは顔も名前すら知らないっていうのにね。

「それは…この際どうだっていいじゃない」

どうだって、よくはないと思うんだけど。
出るつもりのないあたしには、それはそれでいいんだけどね。
さすがに憂目当てだとは本人の前ではいくらなんでも言えない、というのが里穂も愛香も同意見だったのだが…。

「だけど里穂もだめじゃない、憂には篠島くんっていう超かっこいい彼氏がいるのに合コンなんて誘っちゃ」
「それは重々承知してるんだけど、どうしても清水課長とお近づきになりたかったんだもの」
「ちょっと。二人で何、勝手なこと言ってるわけ?!篠島は彼氏じゃないし、合コンにも行かないんだからっ!!」

なんて、あたしの言葉が届くはずもなく…。
あたしの意思なんてまったく無視の二人にただ呆れるしかなかった。


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