素直になれなくて
STORY15

R-18

東郷の家に入るなりいきなり抱きしめられて、エリは戸惑いつつも彼の想いを全身で受け止める。

「かっ、一士っ…っん…」

体をきつく抱きしめられて貪るようなくちづけに、心も体も溶けてしまいそう。

「エリ…好きだ」
「…っ…私も…」

何度も何度も角度を変えて、舌を絡め合う。
互いの光るものが交わりそれが筋となって流れても、もう気にならなかった。
ただ、今は一分一秒離れていたくない…それだけ。

エリは東郷が着ていたスーツのジャケットの襟元から手を入れてそのまま床へ落とし、ネクタイもスルリと抜いてしまう。
そして、ワイシャツのボタンに手を掛けて上から順に外し、露になった彼の肉体に直に触れる。
一瞬ピクッと筋肉が動いたが、引き締まった体は何度見ても見惚れてしまう。

「今夜のエリは、やけに大胆だな」
「嫌ですか?」
「嫌なんて、むしろその反対。そんな可愛いことをされると、俺の方が抑えられない。この分だと壊しそうだな」

いつもと違う大胆なエリに、東郷のモノは既に硬くなっていて…。

「壊して下さい」
「え?」

冗談で言ったつもりだったのに真顔で返されて、東郷は驚きの表情でエリを見つめている。
そんな彼を尻目に、東郷の首に腕を回して抱き寄せるとエリの方から唇を合わせた。

「私を壊して」

彼女にここまで言われて、嬉しくない男がいるだろうか?

「わかった。そこまで言うなら、覚悟して」

喜びを抑えつつ東郷は、エリを抱き上げるとバスルームへ向かう。
―――え?
自分で言っておきながら、この意外な展開にエリの脳裏に一抹の不安が過ぎる。
まさか…ねぇ…。

実際、そのまさかだったのだが…。

バスルームへ連れて行かれると、さっきとは反対に東郷がエリの着ていたものを全部脱がせてしまう。
自分でするからと言っても、彼は聞いてくれなくて…。
お互い生まれたままの姿で中に入ると、再び貪るようなくちづけを注がれる。
密着した体に、彼の硬くなった大きなモノが触れた。

「…は…っぁ…ん…っ…」

―――やだっ、声が響くぅ…。
バスルームは、思った以上に声が響く。

「いいよ。もっと、声を聞かせて」
「…でも…っ…ぁっ…んっ…」

二つの膨らみの一つを東郷の大きな手が包み込んで、既に硬くなっていた蕾を指で弾いたり捏ねたりする。
バスルーム中に自分の声が響くのが恥ずかしかったけれど、体中に電流が流れているような衝撃にそれどころではない。
東郷がシャワーの栓を開けると勢いよくお湯が出てきて、二人の体を湿らせていく。
「これなら、声を出しても平気だろう?」などと東郷は言うが、そういう問題じゃない?!
彼の手がエリの胸から腰のラインを沿って下りていき、花弁を捕らえた。

「…やぁっ…っん…」

シャワーのせいか、それとも…。
秘部に指を入れると、ぬるっとしたものが絡みつく。

「エリ、もうこんなになっちゃって」
「そっ…そんなこと…いちいち…ぁっん…いわ…ない…でっ…」

本当は東郷だっていっぱいいっぱいなのに、こんなところで大人を装ったりして…。

「そういう俺も、もう無理。入れていい?」
「えっ、ここで?」

―――うそ…っていうか、この状況なんだからやめるわけにもいかないけど…でも、ここで?
エリは今まで、バスルームでえっちというのはしたことがない。
っていうか、立ったまま?!

「我慢できない、足上げて」
「うそっ、やだ。そんな…あっ…っん…」

そう言うや否や、東郷はエリの片足を持ち上げると一気にエリの中へ自身を埋める。
エリは慌てて彼に抱きついたが、立ったままという今まで感じたことのないエクスタシーが全身を駆け巡った。

「…やっ…んっ…一士…イっ…ちゃ…う…」
「俺も…」

更に腰を抱き寄せると律動を早める。

「…あぁぁぁっ…ぁっん…っ…」
「エリっ、愛してる…」

エリの方が先にイった後、すぐに東郷も果てた。
ただでさえ立っているのがやっとのエリは、東郷が支えていなければ今にも崩れ落ちてしまいそう。
シャワーの音と二人の荒い息だけが響き渡る。

「気持ちよかった?」
「そんなこと…」
「まだ、ダメ?」
「え…」

なんということだろう…。
エリは決して否定の意味で言ったわけではなかったのに、あろうことか東郷はまだイったばかりのエリを後ろ向きにさせると壁に手をつかせて背後から貫いた。

「…っ…あぁぁぁぁっ…っん…っ…」

バックからという体制はほとんどしたことがなかったから、さっきとは違う快楽の波にどうにかなってしまいそうだった。

「どう?気持ちいい?」
「…なっ…ぁっ…ん…」

余裕のないエリに対して東郷は、ついさっきとは大違い。
それを悔しいと思ってしまうのは、エリだけだろうか?

「まだ、気持ちよくない?」
「…ちがっ…あぁぁぁっ…んっ…」

ただでさえ、一度イって敏感になっていたエリの二度目は早かった。

「…やぁっ…イっ…ちゃ…う…っ…」



すっかり腑抜けになってしまったエリは、その後東郷に体も髪も洗ってもらってベットに寝かされる羽目になった。

「大丈夫か?」
「大丈夫じゃないっ。こんなにしてぇっ…」

隣でエリの髪を撫でながら、クスクスと笑っている東郷。

「壊してくれって言ったのは、エリの方だぞ?」
「だからってっ」

―――だからって、ここまですることないじゃない。

「でも、俺は嬉しかった」
「え?」
「たまには、積極的なエリもいいかな」
「もう、絶対言わないっ」
「敬語もなくなったみたいだし、俺としては非常に喜ばしいことなんだけど。一体、何がエリを変えたのかな?」

東郷だって嬉しい反面、エリを変えた理由が気にならなくもない。
ふと、エリの頭の中に沙希が言った言葉が浮かぶ。

『もっとこう、情熱的な恋愛をしないと。―――若さでぶつかりなさい、若さで』

―――沙希があんなこと、言うから…。

それでも、東郷がいや一士がそう言ってくれるならヨシとするかぁ。
しかし、その後の『いい?後で、ちゃんと報告するのよ?』という沙希の言葉をすっかり忘れていたエリは、会社に行った時に散々沙希に突っ込まれたことは言うまでもない。


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